被災地の声「まだ気持ちのやり場がない」
(20代女性)
飲食店の店員さんが、お話をしてくれた。
祖父母が津波で亡くなった。
自分はおばあちゃん子だったので、よく沿岸部の祖父母宅へ遊びに行っていた。
その日も、高校卒業の報告をするために、お昼から祖父母宅へ行く予定だった。
しかし、些細なことで母親と喧嘩をして出発が遅れた。
結果的に、そのことで私は助かったのだと思う。
祖父母は未だに行方不明。
死亡届を出せば、現実的にも見舞金、弔意の補助金が行政から出る。
でも、母親は死亡届を出すかどうかで迷っていて、出していない。
まだ、気持ちのやり場がないのだと思う。
自分も辛いが、母のことを思うともっと辛い。
ふとしたきっかけで、思いをとめどなくお話されたが、業務中。
他の店員さんに呼ばれて厨房に戻られた。
店員さんの後ろ姿を見て初めて、私たちは箸を止めていたことに気がついた。
(金澤豊)
2015.7/23更新
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掲載日: 2015.07.23