沖島タイムズ(1000年続く島づくり)vol.32
沖島タイムズでは、琵琶湖に浮かぶ沖島の島づくりに携わる僧侶が、沖島の島づくりの様子やそこからの気づきをご紹介させていただきます。
みなさんは「飛び出しぼうや」をご存知でしょうか。運転者が確認しづらい交差点等に設置されている、子どもが飛び出してくる姿を描いた看板です。滋賀県発祥のもので、「子ども達の安全を」と、運転者へ注意を促すツールとして開発されたそうです。沖島でも、漁師さんの格好をした飛び出し坊やとであうことが出来ます。しかし、実は沖島には信号も自動車もありません。
もしかすると、沖島で良く見かける自転車を運転される方への注意かなとも思ったのですが、ふと島の方が「子ども達の声を聞くだけで、本当に元気をもらう。子どもの声がうるさいと苦情が出ているというニュースを見ていてすごく驚いた。」「子ども達の未来を考えた島作りをしたい。」とおっしゃっていたことを思い出しました。
そんな話を思い返すと、この飛び出しぼうや、ただ運転者への注意を促すツールとしてだけではなく、「君たち子どもの安全を見守っているよ」という大人達からの一つのメッセージとも受け取ることが出来るのではないかと感じました。
沖島にお邪魔すると、子どもたちの方から大きな声で「こんにちは!」と声をかけてくれます。「知らない人は危ない!」と注意を促される現代の社会では珍しいことではないでしょうか。何故子ども達が、知らない私達にも声をかけてくれるのかというと、見守ってくれている島の方々の存在や安心感を知らず知らずのうちに感じているからではないでしょうか。子ども達が安心して過ごすことの出来るコミュニティがあれば、子ども達に注意を促す必要もなくなってくるのではないでしょうか。子どもも大人も安心して暮らしていけるコミュニティの在り方を、沖島の島作りを通じて考えていきたいと改めて気づかせてもらいました。
【沖島とは?】
琵琶湖の東南に位置する島で、日本で唯一の「淡水湖に浮かぶ有人島」。
【どうして私たちが沖島の島づくりにかかわらせてもらっているのか】
沖島タイムズ(1000年続く島づくり)vol.1
https://tarikihongwan.net/muramachika/5986.html
2017.6/14更新