「地震」って何だ?地震大国の日本で暮らすということ【熊本地震編】
【図2】前震の際、警報第1報を発表した地域と発表から主要動到達までの時間(秒) (*2)
■直下型地震に備えるには?
緊急地震速報は間に合わないことも
――地震が起きる前にも十分な心構えをしておけるといいのですが、難しそうですね。
黒田:たしかに、地震の後に注意するよりもぐっと難易度が上がりますね。図2の熊本地震・前震の例を見て分かるように、あっという間に震央から強い揺れが広がって少しずつ減衰するのですが、このときは地震検知後3.8秒経って緊急地震速報が発信されています。(*2) つまり、中心部(震央周辺)では速報が間に合っておらず、突然揺れが襲いかかっているので、身構える間もなかった、というのが実情のようです。
――離れたところでは緊急地震速報が役に立っていたのでしょうか。
黒田:そうですね。十分に役立つ貴重な情報です。震央に近く強い揺れが襲う地域では、社会的には電車や工場設備など身の回りの様々な装置を止める制御が働きますし、個人的には訓練さえしていれば、速報を聞いた瞬間反射的に身を守る姿勢をとることができます。しかし、速報を聞いても様子見してしまうようでは全く意味がありません。いざというときは、ただでさえ何もできないのですから、(身もまもる以外の)何もしなくて良いように備えておくことが大切です。
建物の耐震化や家具の固定が重要
ーーつまり、建物の耐震化や家具の固定が重要、ということですね。
黒田:そうですね。住まいや学校・勤務先が丈夫な建物であるだけでなく、室内の家具や什器が転倒・落下・移動してこないことが満たされていれば、怪我をしたり閉じ込められたりするリスクは格段に減り、助けられるのではなく、助ける側に回ることができるかもしれません。最後に、家具をしっかり固定するとどれほど被害が減らせそうか、映像を見て少しでも実感を持っていただければ嬉しいです。
こちらは冒頭の映像と全く同じ熊本地震・本震の揺れを再現したものですが、部屋の家具やテレビがしっかりと固定されており、家具の転倒・落下防止対策の効果が実感していただけると思います。対策のための知識や技術が学べる資料をさまざまな機関が公開しているので、参考にして実践していただきたいと願っています。(*4)(*5)(*6)
熊本地震の揺れと室内被害を再現した動画(動画提供:白山工業株式会社)(*7)
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ーーたしかに、家具を固定することで、避難経路が確保されていますね。いつ発生するかわからないからこそ、早めの対策が重要なのではないでしょうか。