科学を学びながら、いのちのことを情緒豊かに考える。『13800000000ねんきみのたび』
さく・え: 坂井治
監修:国立科学博物館動物研究部長 倉持利明博士
出版社:光文社
いのちは大切ですよ、とよく聞くことですが、どうしていのちは大切なのでしょうか?
本書は、その問いに対して、大人も子どもも何かを見つけるヒントになる一冊かもしれません。
「うちゅうもたいようもちきゅうも、いろいろないきものも、みんなきみにつながっている。だからいま、きみがここにいるんだね。
138おくねんのながーいたびをたどってみようよ。」
「宇宙が生まれて約138億年、地球が生まれて約46億年、生命が生まれて約40億年といわれます。
この絵本では、宇宙の誕生にはじまる物質と物質のつながり、物質と生命のつながり、生命と生命のつながりを、お子様の旅にたとえて表現しました。
私たちはどのような歴史をたどって今に至ったのか、お子様と旅することができます。」
げんしの粒から始まり、星、宇宙での爆発、マグマ、隕石、細胞、水の生物から陸の生物へ、恐竜……人間、戦争、科学の発展、そして「いのち」のつながりについて、科学的でありがながら、情緒豊かに書かれています。
わたしたち、人間はいつ生まれて、どんな歴史をたどってきたのでしょうか?
こどもに話すには壮大で、ややこしくもあり、説明するのがちょっと難しい話かもしれませんが、本書ではかわいい絵と宇宙や地球上をこどもが旅しながら、お話が進んでいくので、楽しみながら宇宙と地球、そして人類の歴史を知ることができます。
農耕生活が中心だった東洋では、自然とあらゆるいのちと共に歩んできた文化があります。明治時代に西洋の文化が入った頃、「自然」という言葉をいかに訳すか?という議論になった時に、結果、”nature”と訳されましたが、日本語の「自然」と西洋の”nature”の感覚はすこし違うようです。
「自然」とは、「自ら然らしむ(しからしむ)」という意味をもち、動きのある動的な言葉だそうです。
いのちの持つ意味も、私1人だけの区切られた「いのち」というよりも、ながくつながってきたいのちとして、今ここにいる私となり、138億年のいのちの歴史のつながりの中で、何か一つでも足りていなかったら、今ここに私はいないかもしれません。