被災地の声「今でも海が怖い」

(10代男性)

仮設住宅を訪問すると、平日の昼間の時間帯ということもあって、ご年配の方と出会うことが多い。

しかし、その日は珍しく、男子高校生とゆっくり話しをする機会に恵まれた。

ローンが残っているのに家が流されてしまったこと。

お婆ちゃんの介護をしていること。

家計を助けようと、アルバイトを始めようとしていること。

そんな、家族への心配ばかりを口にしていた。

そして、震災が起きた時に仙台空港に避難したこと。

「津波がきたらすぐに逃げろ」と言われていたことを思い出して、津波から逃げたこと。

今でも海を見ると、あの時のことを思い出すので、怖いということ。

ぜんぶ含めて、「それでも津波を体験できたことは良い経験だった」と笑顔で語ってくれた。

津波の経験から2年と4か月。

彼は何を感じ、何を想ってきたのだろうか。

澄んだ瞳で、まっすぐと私たちの目を見て話す少年の姿が、どこか頼もしく見えた。

(安部智海)

 

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掲載日: 2013.09.11

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