【仏教×認知症】認知症との向き合いかたは日々のコミュニケーションからはじまる

京都のお寺で実施された講座&茶話会「認知症に備える」〜お寺で考える安心な老後〜というイベントをレポートします。

 

図1

 

 

「認知症に備える〜お寺で考える安心な老後〜」というテーマで、

精神科医・介護福祉士・僧侶がそれぞれ3人の立場で認知症や生き方についてお話をしてくださり、その後茶話会も開催され、認知症に対する素朴な疑問にも答えてくださいました。

 

 

<イベントレポその1>

精神科医・介護福祉士のお話をご紹介「あなたの可能性を広げる認知症の捉え方を(前半)」

  

 

3人目にお話くださったのは、浄土真宗本願寺派の僧侶である加茂順成さん。

認知症予防ができない。認知症になってしまったと慌てる事よりも、それ以前からの心構えの大切さ、仏教の立場から認知症をどう捉えていくか。

認知症はこわいもの、なりたくないもの、暗いものと捉えることが多いですが、加茂さんはそこから希望や可能性を見出していきたいとあたたかな雰囲気で話されました。

 

 

「認知症になったとしても心豊かに生きられる、周囲の方ともいい関係が保てる。そういった心構えを元気なうちから備えておくことで、認知症になっても豊かに生きることができるのではないかと思っています。

まずは仏教の立場から、心構えの養い方というのを少し一緒にみなさんと考えていきたいですね」

 

 

 

 

念仏者は認知症の現れ方がちがう!?

 

 

「念仏者は認知症の現れ方がちがう」と、岐阜県郡上市のとある精神科医の先生がおっしゃいました。

郡上市は郡上踊りが有名なところで、実はここは、浄土真宗に熱心な門徒さんも多くいらっしゃいます。

先生がおっしゃるには、念仏者は他の患者さんと比べて、もちろん物忘れはあるんだけれども、認知症の現れ方が違う。周囲ともトラブルになりにくいような気がする、と先生の経験上そんなことを言われていました。いずれはこれを科学的に検証していきたいともおっしゃっていましたね。

今のところ、どこまで本当かわかりませんが。

 

 

「念仏者は認知症の現れ方がちがう」

もしそれが本当だ、とすれば、なぜ現れ方が違うのだろうか?という理由に迫ってみたいと、私なりに考えてみます。

 

 

ちょっと難しいんですけれども、念仏者の生き方って簡単にいうと

「自力のこだわりから離れて、他力にお任せする生き方」

お任せっていうのがポイントなんですね。

 

もの、いのち、健康、家族、お金、いろんなものに執着して生きている私たちですけれども、その執着から離れていく。

それはもうおまかせです、というようなのが念仏者の生き方だと思います。

 

 

 

 

 

おまかせ上手なのは、ねこの親子?さるの親子?

 

 

「少し仏教のお話をさせていただきますね。お坊さんですので(笑)

こんな例えがあります。仏さまと私というのは親子関係のようなものだと言われます。仏さまは私たち人間を哀れんで、救いを差し伸べてくださるんですが、これは親が慈悲深く、子をまもる姿。

 

 

では、ここでいう親子関係の姿はどちらの動物の親子に似ているのかなぁという例えです。

ねこの親子、さるの親子がいたとして、子どもが危険な状況のときに、親はどういうふうに子をすくうのか?というイメージを持ってください。

 

 

では、少し考えていきましょう。

さるの親子は、子ザルが親ザルの背中にしがみついている。

これは子ザルが親ザルにしがみついて、安全なところに運んで行ってもらえますね。

けど……じゃあ、もし子ザルが、今、手を離したらどうなるでしょうか?

落ちてしまいますね。ここでは子ザルの自分自身の力が必要となり、不確かな救いの姿と言われています。

 

 

一方、ねこの親子の光景を思い浮かべてみましょう。

子ネコは親ネコに首根っこをくわえられて、有無を言わさずに親ネコに安全なところに連れて行ってもらえます。子ネコは、ただ、親ネコにまかせていればいいんですね。親ネコの救いにただ、ゆだねる。

 

実はこの、仏さまにお任せする生き方というのはねこの親子の方に近いと言われています。

 

 

おまかせする生き方と言ったとき、子ネコはただぶら下がっているだけで、何にもしないんですか?というような鋭い質問を受けたことがあります。

これ非常に浄土真宗としてもご説明が難しいところなんですが、『他力本願』という言葉は、世間では人まかせで無責任だと誤解されて使われていますが、実はこの『他力』のすくい、というものをいただいたものは自然と、感謝の気持ちがわいてくる。そういう生き方に変えられていく、と言われております。

 

 

『自然と感謝の気持ちが湧いてくる』なんてたいそうな表現ですが、言葉を変えますと、生かされていくことに、おかげさまと感謝すること、ということがおまかせする生き方の中に恵まれてくるのではないでしょうか。

 

 

非常に我ながら説教くさいフレーズだなぁとも思うんですけれども、この生かされていることに、おかげさまと感謝する心というのをもう少し、いろんな事例を用いながら、みなさんにもご理解いただきたいなぁと思います」

 

  

 

 

次回、「『つながり』の驚くべき力」をお届けします。

 

 

<イベントレポその1>

精神科医・介護福祉士のお話をご紹介「あなたの可能性を広げる認知症の捉え方を(前半)」