ひとりで老病死を抱える人に、どう寄り添うのか|せいざん株式会社インタビュー③

弔い委任事業ってどんなことをしてもらえるの?

 
ーー主な業務は、後見と死後事務ですか?
 
池邊:そうですね、具体的には死後事務がメインです。死後事務の契約をするなかで、見守りの取り組みもご紹介はしています。
 
ーー見守りもされているんですね。見守りは、定期的に様子を見るということですよね?
 
池邊:はい。これも外部への委託ではなく、私たちでやっていく予定です。週に1回お電話で様子を伺うとか、ランチをご一緒するとか、やり方は選んでいただけます。
 
なにか変だな?と思ったら、司法書士さんにバトンタッチしたり、場合によってはそこから後見人としての業務が発生したり。そして、お亡くなりになったあとには死後業務を執行します。喪主のかわりとして納骨までお手伝いします。
負担にならない範囲を探って、士業の方と協力して進めています。
 

お寺でできる死後事務委任契約─〈日本弔い委任協会〉について

 
ーー見守りの取り組みはもう始まっているんですか?
 
岩田:まだこれからなんです。
 
ーーなるほど。予定としてはお電話かランチを考えていらっしゃると。ランチというのはお家にお邪魔して一緒に食事をするんですか?
 
池邊:はい。
 
ーー価格設定が難しいんじゃないでしょうか?
 
池邊:価格的にも気持ち的にも、そんなに負担にならないようにしようと思っています。完全に無料サービスだと「毎回来てもらって悪いから、交通費だけでも……」となってしまう可能性もありますから、それだったら最初から料金に含めておいたらお互いに気が楽ですよね。
 
ーーたしかにそうですね。契約関係だからこそ、安心してサービスを受けられるというのはあると思います。家族に頼むよりも、疑似家族のような仕組みの方がより良いのかもしれないですね。
 
池邊:そうですね。本当に困ったときに頼れるという意味では、家族のような存在になりたいと思っています。
 
ーー寺院にとっても、高齢化やお一人の方が増えているというのは、考えていかないといけないところです。
 
池邊:そうですよね。見守りをはじめとした、お一人の方との関係づくりも僧侶の方がやっていただければ良いなと思いますね。ホームページでは「弔い」から「看取り」へとも書かれていましたね。
 
ーーそうですね。とても大切な僧侶の役割です。
 
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池邊:お寺をきっかけとして、安心できる社会や地域をつくることができたら、そこには安心して生きられる人生があるんじゃないでしょうか。
 
今は、老いることが怖い、死ぬことが怖い、病気になることが怖い……という怖いづくしでも、繋がりができることで少しでも変化していけるのではないかと思います。
 
 
ーー老病死の問題に寄り添っていくというのは、いつのときも必要なことですよね。せいざん株式会社さんは、今の時代を見据えたうえで、老病死に向き合っておられるんですね。
 
池邊:私たちは、おっしゃる通り、老病死をより良くしていく会社でありたいと思っています。前代未聞の超高齢化社会でもありますしね。
 
すでにご紹介した業務の他にも、供養や人の繋がりに関する情報発信をするメディアを運営したり「エンパーク」、定年世代向けのお仕事を募集する「はたらく+(はたらくぷらす)」という求人サイトも運営しています。
 
なにか自分の役割を見出せたり、人と人が繋がれるように、という思いは全てのサービスで一貫しています。
 

編集後記

 
人が死んでいくということはいつの時代も変わらないけれど、人を取り巻く社会の状況は刻々と変化しています。社会の変化から零れ落ちてしまった人たちを見つめ続け、何ができるだろうと模索し続ける姿に、僧侶は一体なにができるだろうと考えさせられるインタビューでした。
 
次回は、お寺との関わりについてお話いただきます。
 

 

   

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掲載日: 2019.10.22

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