「死にたい」に寄り添うだけではだめだった 葬儀会社のYouTube│佐藤葬祭<前編>

 
寄り添わない回答で良い方向に
 
――次にYouTubeでの活動についてお伺いします。佐藤さんはYouTubeで「葬儀葬式ch有限会社佐藤葬祭」(以下、葬儀葬式チャンネル)を2013年10月8日より始められていますが、この頃はちょうど日本でYouTube、動画ブームが起こり始めた頃でしょうか?
 
佐藤:そうですね。そこに市場ができたと思ったので参入しました。それをきっかけにして今日に至るといった感じですね。
 
――葬儀葬式チャンネルでは、主にメールなどで寄せられた質問などに答えられているかと思います。どういった質問が多く寄せられるのでしょうか?
 
佐藤:一番多かったのは「死にたい」です。他は「つらい」とか。質問の体を成していないコメントが一時期は本当に多かったですね。今は以前と比べて落ち着きましたが。
 
――そういった答えづらいコメントや質問が来た場合、どういった対応をされているのでしょうか?
 
佐藤:僕ではわからないコメントが来たときは、わかる人を探して聞きに行きます。それでもわからない場合はわからないとはっきり言うべきだと思っていて、うやむやにして逃げてしまうということはしないように心がけています。
例えば、「子どもを亡くしました。この子のことはもうあきらめて前を向くべきでしょうか」という質問に対して、「ご無理なさらないように」とか「あきらめるのも一つの選択肢ですね」と言うこともできますが、おそらくそれはこの質問に対しての回答ではないんですよ。これから何ができるのか、これからどこを向いて生きていくべきなのかということを答えないと、この人にとっての回答にはならないんです。
 
――明確な回答ですね。逆に言えばさっぱりしているというか……。
 
佐藤:僕の回答スタイルは、基本的に寄り添いません。これまで「寄り添う」ということの限界に絶望してきました。さっき言ったように毎日毎日「死にたい」「つらい」が来るんですよ。それらに寄り添って状況が良くなったことがなかったんです。というか、寄り添うだけではだめだった。
僕はあくまで質問してきた方に良くなってほしいと考えています。どうしてその質問をされたのか、どうして僕のところに来たのか、その「どうして」を繰り返し考えることで明確化していき、暗いところで小さい穴から漏れる光みたいなものになればと思い、回答しています。
 
――相手の話を聞くうえで寄り添いは大切というイメージもありますが、それだけではだめなんですね。
 
佐藤:寄り添い方にもよるとも思います。実際寄り添わなければならない状況もあるので。僕が一番危惧しているのは寄り添う側が傲慢になること、自分本位で聞いてしまうことです。例えばどんな人であっても「頑張れ」と言ってはいけないと縛りを設けてしまったり、こう思ったんだよね?つらいよね?とはじめから相手の気持ちを決めつけてしまったりすることのないようにしたい。なので、相手の想いをなるべく正確に読み取る努力が必要なんです。
 
――確かに自分本位の寄り添いは無意識のうちにしてしまっているかもしれません。そうならないために、相手の想いを明確にしていくんですね。
 
 

<編集後記>

 
葬儀葬式チャンネルにアップロードされている回答動画は1000件を超えます。それは葬儀のこと、遺体のこと、宗教のこと、死後のことなど、様々な質問の背景にある「どうして」に向き合い続けてきた佐藤さんの真摯に取り組んできたことの足跡といえるでしょう。私たちは他人からの相談に、そこまで真摯に向き合うことができるでしょうか?考えさせられるインタビュー前編でした。
 
後編では佐藤さんの考えられる葬儀の意義、葬儀会社の立場から見た仏教や僧侶の印象などについてお話を伺います。
 

 
 
 

 

   

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掲載日: 2021.03.05