葬儀はなぜするのか、そこに僧侶はなぜいるのか│佐藤葬祭<後編>

YouTube「葬儀葬式ch有限会社佐藤葬祭」で葬儀に関する情報を発信されている、有限会社佐藤葬祭 代表取締役 佐藤信顕(さとうのぶあき)さんへのインタビュー。
前編では佐藤葬祭の歴史や、佐藤さんが心がけている質問への解答の姿勢についてのお話を伺いました。
後編では佐藤さんの考えられる葬儀の意義、葬儀会社の立場から見た仏教や僧侶の印象などについてお話を伺います。
 
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「死にたい」に寄り添うだけではだめだった 葬儀会社のYouTube│佐藤葬祭<前編>
 

 
 
仏教やお坊さんは愛されている?
 
――佐藤さんから見た僧侶や仏教の印象はどのようなものでしょうか?
 
佐藤信顕さん(以下:佐藤):お坊さんや仏教は愛されていると思いますよ。だから注目の的になったりします。たまに炎上しているように見えることもありますが、あれは単に話題になっているだけだと思います。
教義やお坊さんの姿勢に文句を言う人はほとんどいないし、ポジティブな意見もたくさんあります。仏教は歴史があるぶん信頼もされているので、心配しなくても大丈夫です。
 
――では、佐藤さんが葬儀において僧侶に求められることは何でしょうか?
 
佐藤:「空気を読んで」……これくらいですかね。
例えば葬儀のとき「葬儀は故人のためにするものではありません」とお話するお坊さんがいますよね。その通りなんですが、参列者はその方が亡くなって悲しんでいて、その方のために来ています。そういった方々が集まる場で、「葬儀は故人のためにするものではない」と言ってしまうのはどうなの?という話です。そういったいわゆる空気の読めていない状況を法話のときなどに作ってしまうと、お坊さんなのになんでこんなひどいこと言うの!という人が出てくるんです。ただこれは「あった」話で、最近はもう見なくなりましたね。
ですが、こういうことがあると現場としてはけっこうきついんですよ。「お坊さんがひどい!」というクレームがお坊さん本人じゃなくてこちら(葬儀会社)に来るので。葬儀の説明などの話は、お坊さんが言うことが一番強く感じ取られるんです。
 
以前、お金がなくて葬儀をあげられない家族がいたとき、「お金がなくても葬儀はしなきゃだめだ」と言ったお坊さんがいたんです。「戒名を付けないと成仏できないよ」って。その「成仏できない」がものすごく力を持ってしまうんです。なので、こうしないと〇〇できないという言い方はしないでほしいと思います。でも最近のお坊さんは、相手のことも考えるし、そういうことを言うと批判の的になることも承知されているので大丈夫です。
お坊さんの言う強い言葉はポジティブにはたらく場合ももちろんあります。例えば、子どもさんを亡くされたお母さんが住職に「子どもにまた会えますか?」と聞いたとき、「お浄土でまた会えますよ」と言うことの力もまた強いんですよ。離れ離れの寂しさもいつかなくなるという教えは本当に心強いと思います。
 
葬儀会社としては「お坊さんが来てくれたからもう安心ですよ」とバトンタッチさせてもらいたいんです。バトンタッチして「はい、わかりました」と受け取ってもらえるお坊さんなら安心ですね。ものすごく頼りにしているんですよ。教えを僕らが言っても知識でしかないので悲しんでいる遺族に対してやりきれない気持ちになることもありますが、お坊さんが言うとそれは仏教ですから。
 
――僧侶の言葉には、一言で人を不安にさせてしまうような強い力があるんですね。しかし同時に、悲しまれている方を励ます力があることも教えていただきました。どちらも覚えておかなければいけませんね。
 
 

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記事作成:他力本願.net
掲載日: 2021.03.09