★PICK UP|お寺でお葬式という選択|株式会社きあら<前編>

 

「お寺でお葬式」のここがいい!

 
――葬儀会社の立場から見て、寺院にしかできないこととは、どのようなことだと思われますか?
 
齋藤:実は一般の人たちにとってお寺の本堂は、特別な空間という意識があるため、本堂内に入ることを躊躇してしまうことがあるんです。そんな神聖な場所で儀式をしてもらえるのは、ものすごくありがたいことだと思います。
あと、お寺でしかできないというより、菩提寺のご住職の代わりはいないということです。
 
宮澤:寺院でもホールでも、僧侶がいないとお葬式はできないですからね。
 
齋藤:例えば、お葬式だけでなく災害のときなどに避難所がいっぱいで入れなかった人たちが、各地域のお寺へ避難したケースもありました。そこへ救援物資というかたちで被災地以外のお寺から米や物資が送られた。でもお寺が衰退してしまったらそういう場所もなくなってしまう。ましてや我々はご先祖様からいのちがつながっているので、そういった面でもお寺という場所をおろそかにして事を進められないと考えています。
 
――お寺はお葬式だけではなく、いざというとき人々が集まることのできる場所としても役割があるということですね。
 
齋藤:私たちが会社を立ち上げた際に背中を押してくださったご住職が10年前に亡くなられました。毎年、ご命日にはお墓参りに行っています。ご住職のおかげで私たちの今があることに感謝し、今後も努力精進すると約束をいたしました。
そうした報告できる場所があるのが、すごくありがたいと思ったんです。
 
――そういった役割は本当に大切だと思います。境内にお墓があるお寺が担える役割かもしれませんね。また自分自身を振り返る時間を持つ場にもなりそうです。
 
お寺でのお葬式の様子

(写真提供:株式会社きあら)

 
 

距離が離れた今だからこそ

 
――寺院葬を実施するにあたって新型コロナウイルスによる感染症の影響は受けられたのでしょうか?
 
齋藤:最初に緊急事態宣言が出たときは、やはりお寺さんもひやひやしていたと思います。実際一時期、寺院葬は大きく減りました。ただ、そんななかでも寺院葬をしてほしいという方はいらっしゃいました。
 
――このような状況下でも、寺院葬がホール葬よりも良いと思われる点はどのようなところでしょうか?
 
宮澤:まず、お寺と施主さんのご自宅との距離が近いことです。ホールは車を運転できる人がいないと行けない場所にあることが多いですからね。
 
齋藤:あとは何と言ってもお寺には立派なご本尊があるので厳かですよね。山梨のホールではご本尊を置いていないところもあるのですが、お寺の本堂であればそのようなことは絶対にありません。
 
――確かに、ご本尊による厳かさの違いは大きなことかもしれませんね。
 
齋藤:またお寺と直接かかわることで、ご遺族がお寺の名前や場所、宗派を確認していただけます。
 
宮澤:山梨県の若い人たちは都心に通勤通学することが多いので、自分の家のお墓があるのは知っていてもお寺がどこにあるかわからない、宗派も知らないという方が意外といらっしゃるんです。
 
齋藤:あと、寺院葬ではご遺族がご住職とコミュニケーションをとる時間も増えます。ホール葬では遠慮してしまい、ご挨拶してお布施を渡すだけになってしまうことも多いですから。
 
――ご遺族とご住職のコミュニケーションもお葬式には必要ですよね。そう考えると、普段の何気ないご住職との雑談も大事なことと思えます。
そうして親しみのあるお寺でお葬式が行なわれることによって、施主さんやご家族の心に残るものになればいいですし、ご縁が深まることでお葬式のあとも関係が続いていくと寺院側としても嬉しいことです。

 
 

編集後記

 
自宅からホールへと、便利な形に移り変わっていったお葬式のあり方。ですが、その過程で失われた大切なものがあったのかもしれません。施主さんやご遺族に寄り添うため、お葬式の新たな選択肢として寺院葬をすすめる株式会社きあらさん。寺院の役割を考え直すきっかけとして、注目が集まりそうです。
後編では、葬儀会社と僧侶との連携のお話や、今後の展望についてお聞きします。
 
 
<インタビューの続きを読む>
お寺で作る、オーダーメイドのお葬式│株式会社きあら<後編>
 
 
桜の写真

(写真提供:株式会社きあら)

   

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掲載日: 2022.07.11

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