“聴く”伝道とは? —路上でグチを聴く「グチコレ」座談会— グチコレ誕生秘話〜社会の声を聴く〜

“聴く”伝道とは? —路上でグチを聴く「グチコレ」座談会—

 

グチコレ誕生秘話〜社会の声を聴く〜

 

今まで路上でいただいたグチを紹介してきた「グチコレ」。今回、第四回にわたり、龍谷大学教授の葛野、グチコレ初代代表藤原さん、浄土真宗本願寺派総合研究所の高橋研究員の座談会で出たグチコレの企画背景や、活動者の声を聞き手の加茂がお届けします。第一弾「グチコレ誕生秘話」です。

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(左から 高橋一仁研究員・藤原邦洋さん・葛野洋明先生)

 

—まず、グチコレという企画が誕生したきっかけを教えていただけますか?

 

藤原:2012年の夏に、浄土真宗本願寺派の新しいホームページである「他力本願.net」の企画として、龍谷大学大学院実践真宗学研究科にコンテンツ担当の依頼が来たことがきっかけです。高橋さん、加茂さんとはそのときからのお付き合いです。

 

—他力本願.netとはなんですか?また、従来からの本願寺公式ホームページとは違うのですか?

 

高橋:他力本願.netは、当時本願寺派統合企画室の相談役であった田崎正巳氏の「これまで浄土真宗にご縁がなかった方へのアプローチが必要である」という提言をきっかけに始まったプロジェクトです。宗門内の豊富な人材と活動を発掘し、行政やNPO、専門家と連携しながら活動を行い、魅力的かつ平易な言葉で紹介していくオープンな情報発信の場です。従来からある本願寺ホームページは、宗門関係者対象が主な公式発表の役割です。一方、他力本願.netは真宗にご縁が薄い方の興味や関心に寄り添う、第二の公式ホームページです。

 

藤原:社会の中で宗教をいかに実践していくか、という研究をするのが私達実践真宗学の大学院生なので、他力本願.netの企画の方向性とピタリとはまりました。

 

葛野:教員が前面に出るよりも、院生の自主性と本願寺派のサポートにおまかせしています。研究者や教員が型にはめるのではなく、院生の主体性にまかせた参加型の活動が生まれたことが素晴らしいと思います。

 

—具体的にはグチコレはどういう着想から生まれたのですか?

 

藤原:本願寺派の方から「街の悩みを聴く」ということをお題としていただき、会議を重ねていくなかで「グチコレ」の企画が誕生しました。

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グチコレ初代代表藤原さん

 

高橋:日本のお寺はコンビニよりも数が多いのですが、コンビニほど利用されていません。葬儀や法事以外での接点が少ないのだと思います。それならば僧侶の方から街中に飛び込み、一般の方と接点をもつ活動を企画をしようと。僧侶の特徴を活かす企画として「街の悩みを聴く」というお題を学生さんたちにオーダーしました。宗教離れが進む昨今、今後の伝道という意味では、社会の生の声、心のニーズを聴いていくことが必要だと思います。

 

葛野:宗教は、世間や、他の宗教や思想、言語と対話していくことがあります。そのとき、ニーズに応えていないと閉塞感がでてしまう。でも逆に迎合するのもどうなのか。独善・排他にならない純粋性を保ちながら、無節操・迎合にならない寛容性を保つのが大事ですね。とても難しいし、画一的な答え、マニュアルはありません。あるときは寛容になりすぎたり、頑なに守ったりしてしまう。そうならないように核となるものをきちんとおさえていれば、自由に動けるし、多様性がもてます。

 

※この記事は「伝道」82号 2014年9月1日の記事を一部修正し掲載したものです。

 

<対談者プロフィール>

葛野 洋明(かどの ひろあき)

龍谷大学大学院 実践真宗学研究科教授

浄土真宗本願寺派布教使

 

高橋 一仁(たかはし かずひと)

浄土真宗本願寺派総合研究所 研究員

 

藤原 邦洋(ふじはら くにひろ)

「グチコレ」初代代表

龍谷大学大学院 実践真宗学研究科修了

 

聞き手

加茂 順成(かも じゅんじょう)

浄土真宗本願寺派総合研究所 研究員

 

次回は「グチを聴くコツ〜できることとできないこと〜」。グチコレの活動についてのお話です。グチコレという活動の5/20更新予定!是非お楽しみに!

 

2016.5/16更新

 

 

   

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掲載日: 2016.05.16

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