「読んだ人が伝道の当事者になる」みんなのいいね!が集まる「お寺の掲示板大賞」|江田智昭さんインタビュー<後編>

お寺の掲示板が生み出す伝道の輪

 
――SNSなどで話題になり、書籍として出版までされることとなった「お寺の掲示板大賞」ですが、これはいったいどのような企画なのでしょうか?
 
江田智昭さん(以下:江田):どなたでも参加していただける投稿型の企画です。通りかかったお寺の門前の掲示板に書いてある標語で面白い・有難いと思うものがあれば写真を撮ってもらって、インスタグラム、またはツイッターにハッシュタグをつけて投稿しよう、という企画です。そして投稿された掲示板の中から賞を決めて、紹介しています。
 

お寺の掲示板大賞ホームページより

 
――そもそも、お寺の「掲示板」に注目されるまでにどのような経緯があったのでしょうか?
 
江田:お寺の門前には掲示板がありますよね。掲示板を使った伝道は、少なくとも明治時代には行われていたと言われていますが、ここ最近は、掲示板を使っているお寺が減っているなと感じていました。
加えて、ツイッターが普及し始めた頃から、SNSを使って何かできないかなと思っていたんです。でも、SNSを利用する人も発信する内容がさまざまあるのに、ほとんど仏教というトピックがなかった。だからツイッターで仏教の教えを発信できないかと考えました。
 
――お寺の掲示板を面白いと思った人が、写真を撮って投稿し、紹介する……ありそうでなかった試みですよね。
 
江田:作品集めをどうするか考えたときに、本当にたまたまですが、インターネット上でお寺の掲示板の標語が話題になっていて、その流れに便乗したのが始まりです。掲示板というアナログなツールとSNSというデジタルツールを組み合わせる面白さに惹かれて、この企画を始めるに至りました。
 
まさかここまで話題になるとは全く思っていませんでした。しかし募集が始まって2週間くらい経ったとき「お前も死ぬぞ」っていう掲示板が投稿されてきたんです。これが非常に話題になったんですよね。
そこからありがたいことに多くのメディアに注目していただいて。朝日新聞、Yahoo!のトップニュース、さらに「タモリ倶楽部」という番組で紹介され、どんどん広がっていったんですよね。
 
――お寺の掲示板の最大の魅力は、ずばり何だと思われますか?
 
江田:自分が良いと思った標語を簡単に覚えることができて、それを誰かに伝えたくなるところです。読んだ人が伝道の当事者になるんですよ。
2018年に「タモリ倶楽部」という番組で、「”のぞみ”はありませんが”ひかり”があります」という標語を紹介したんです。そうしたらタレントのタモリさんが「その言葉良いね」とすごく気に入ってくださって。
 

お寺の掲示板大賞より

 
その後テレビを見ていると、NHKの「ブラタモリ」という番組でタモリさんが先ほどの標語のことをおっしゃっていたんです。「タモリ倶楽部」のときからすでに2年くらい経っていたのですが、仏教的な意味も含めてちゃんと伝えてくださって、ものすごく感動しました。心に刺さった言葉は長く心に残り続け、自然と誰かに教えたくなるんですよね。
これは間違いなく伝道で、そういう巻き込み方が重要だと思っています。
 
 
 

ビビっと来る言葉は人それぞれ違う

   

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掲載日: 2021.11.15

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