今から始めても遅くない!?音声交流SNS “Clubhouse”の活用術。|北海道玄誓寺 上本周作さんインタビュー<前編>

 
――Clubhouseの面白みを教えてください。
 
上本:異業種、同業を問わずさまざまな現場でご活躍されている方と気軽にお話ができることこそ、Clubhouseの醍醐味ではないかと思います。実際、何度か異業種でご活躍されている方とコラボレーションしたことがあり、その機会を通してさまざまな知見を得ることができました。
畜産業の現場で働く方をゲストに、そして「ガストロノミー」(食事と文化の関係性を考察する学問)を研究されている方を司会に迎え、3人で「食」をテーマに話し合ったことがありました。他には、ダイエットで有名な管理栄養士の方とコラボし「仏教とダイエット」というテーマや、現役外科医、獣医の方と「いのち」をテーマにしてお話ししたこともあります。
 
仏教界内でコラボをしたこともあります。その中で人気だったのは、それぞれの宗派の「往生礼讃」をおつとめするという企画でした。浄土真宗は私が担当し、他に浄土宗や融通念仏宗など、各宗派の僧侶が参加しました。それぞれの宗派のおつとめを聞き比べられるのが人気だったようです。
 
他には、数人の浄土真宗本願寺派僧侶らによって開催されていた「あつまれ!お坊さんの森」という定期開催ルームも、フォロワーが1000人くらいいらっしゃる大人気の企画でした。お坊さんの裏話が聴けることや、直接お坊さんと会話が出来るところに面白さがあり、話題になっていましたね。
 

(画像提供:上本さん)

 
――異業種間交流のメリットはどういったところにありますか?
 
上本:やっぱり、いろんな業種のノウハウを教えていただけることですよね。お寺の中にいると、異業種間で交流するのはなかなか難しいと思います。ですが、例えばマーケティング業界の方に、マーケティングのノウハウを教えてもらうことができれば、それをお寺に反映させることができます。
また、先日はある有名ブロガーの話を聞き、多くの方にブログを閲覧していただくためには、まず検索で引っかからないといけない、ということを教えていただきました。こうしたノウハウも、例えばお寺のホームページで役立てることができるかもしれませんよね。
 
お寺と企業は活動や事業の目的が全く違う団体ですが、運営や経営という面では、参考にできることも多いのではないかと思います。時代が変わり、従来の寺院運営の手法が通用しなくなったとき、ノウハウを知らなければその場で右往左往してしまいますが、いろんな企業のノウハウを聞いておけば、それがヒントになるかもしれません。
 
――異業種間交流を通して、どういった学びがありましたか?
 
上本:アンケートを実施して、世間の声を汲み取ることの重要性に気づかせていただきました。それも、都合の良い内容だけを聞くのではなく、きちんと本音を聞き出せるアンケートです。所属寺でも実施してみたいとは思っているのですが、結果が怖くてまだできていません(笑)。
 
企業では、問い合わせやアンケートで得られた顧客の声を参考に商品が開発されると思いますが、お寺はそういう仕組みがそもそもありませんよね。それを一般寺院でも行うことで、課題を明確化することができ、より魅力ある寺院になっていくのではないかと思うんです。「マーケットイン」の発想を持つ、とでもいいましょうか。
 
――TikTokなど、SNSを積極的に活用するようになったのはClubhouseへの登録がきっかけだったとのことですが、具体的にはどういった出来事があったのでしょうか?
 
上本:ClubhouseでSNSの活用法を熟知しているインフルエンサー(インターネット上で大きな影響力を持つ人)と会話する機会がありまして、それが大きな転機となったんです。
その方とお話しする中で、「TikTokを活用しているお坊さんって少ないから、やってみては?」と提案していただきまして、それがすべての始まりでしたね。その後、3月からTikTokを含めSNSを本格的に運用するようになったんです。TikTokについては、後ほどお話しますね。
 
――他にも、Clubhouseを活用するアイディアはありますか?
 
上本:Clubhouseで法話の配信をしてみるのも良いかもしれませんね。法話を行うための「部屋」を作り、どなたでも入室できる設定にしておいて、入ってきた方に法話を聞いていただいて、その中で出た質問や感想はメールで送ってもらう、というような運用方法はいかがでしょうか。
 
ただ、現時点で実際に活用されている事例は聞かないですし、玄誓寺でも実施していません。というのも、Clubhouseを使いこなせる方が少ないんですよね。もちろん、門信徒の方々に使い方をお教えするなど、工夫次第ではできるかもしれませんが、それであれば既に使い方を知っている人も多い、YouTubeやInstagramといった他のSNSを活用するほうが効果的ではないかと思います。
 
――Clubhouseの持つ可能性はたくさんありそうですね。
 
上本:2022年現在、Clubhouseは以前ほどの活気はなくなってしまいましたが、まだまだ活路はあると思います!特に、交流を広げたいと思うなら、今からでもぜひ始めるべきツールですね。
とはいえ、無理してまで始める必要はないと思いますし、自分自身は全く話さず、聞くだけに徹する、といったラジオのような活用方法もあります。
Clubhouseの面白さは、いろんな人の会話を横で聞くことができるところにもあると思うんですよ。ブームが下火になり「いまさら?」と思われる方もいらっしゃいますが、愛用しているユーザーがいらっしゃるのも事実で、その中でコミュニティが確立されているので楽しいですよ。
 
――ありがとうございました。
 

編集後記

 
今回は、北海道玄誓寺の上本さんに、Clubhouseの活用についてお伺いしました。今ではブームが落ち着き、その特性にメリットを感じ、現在でも活用されている方がいらっしゃるClubhouse。
もしかすると、そこには未来のお寺を救う、素敵な出会いが待っているかもしれません。
続けては、上本さんのTikTok活用の様子について、伺ってまいります。
 

   

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掲載日: 2022.06.27

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