シングルマザーの悩みから生まれた地域の子ども食堂|八幡真衣さんインタビュー<前編>

 
お寺で地域の子どもたちに「食」を通して支援を行う活動があります。その名も「テンプル食堂」。蓮如上人ゆかりの地である本願寺吉崎別院を始め、京都や沖縄でも展開されているそうです。これは、一体どんな活動なのでしょうか?ご活動の様子を石川県本光寺(ほんこうじ)の八幡真衣(やはた・まい)さんにお伺いしました。
 

八幡真衣さん(画像提供:八幡さん)

 
――八幡さん、今日はよろしくお願いします。はじめに、自己紹介をお願いします。
 
八幡真衣さん(以下:八幡):八幡真衣と申します。石川県小松市にある圓満山(えんまんざん)本光寺に所属しています。平成5年2月9日産まれ。5歳と7歳の男の子のシングルマザーです。
 
お寺の次女に産まれたので、もともとお寺を継ぐことは意識しておらず、僧侶になるのが嫌だとさえ思っていた時期もありました。ところが、お寺を継ぐことが既定路線だった姉が結婚し、大阪へ嫁ぐことになったんです。
当然、後継ぎの問題が出てくるわけですが、親に敷かれていた道をずっと歩んできた姉が初めて自身で決断したことだったので、妹としても嬉しかったんですよね。それで、私が僧侶になってお寺を継ごうと思ったんです。
 
僧侶になることに対して、特に不安は感じなかったですね。でも、得度を受けてみると私の知らない世界がまだまだあることに気付かされました。それから、僧侶の生き方にどんどん興味が沸き、教師教習を受け、伝道院にも通って布教使の任用も受けました。2020年3月にお寺へ戻り、その後5月に本光寺で「テンプル食堂えんまん」、6月に本願寺吉崎別院で「テンプル食堂よしざき」を開設しました。
 
現在は2022年7月に設立した一般社団法人「えんまん」の代表理事を務めており、テンプル食堂を他府県でも実施するなど、全国的な支援ネットワークの構築に取り組んでいます。
 

テンプル食堂とは?

 

(画像提供:八幡さん)

 
――テンプル食堂とはどういったご活動でしょうか?
 
八幡:テンプル食堂とは、本光寺や本願寺吉崎別院で開催している食事支援の活動です。大人は300円、子どもは無料で食事を提供しています。
ほぼ毎月実施しており、本光寺には毎回およそ100人、吉崎別院には毎回およそ400人の方が来られます。子どもの参加が中心ですが、保護者の方や高齢者の方も参加されています。
 
――子ども食堂をはじめられたのはどうしてでしょうか?
 
八幡:一番大きな理由は、本願寺のビハーラ活動者養成研修会を受講したことです。子ども食堂とビハーラ活動を並べると、両者は何となく遠いような印象を受けるかもしれません。でも、ビハーラ活動は決して終末期の方だけが対象ではないんですよね。病だけでなく、いろいろな悩みを抱えておられる方への支援も立派なビハーラ活動だと教えていただきました。
 
そして、「悩み」に着目した時、私は2児のシングルマザーとして、いろんな悩みを抱えていることに気づきました。ならば、同じような立場で、同じように悩んでいる人と一緒に悩み考えていこう、共に同じ時間を過ごそうと思ったんです。
 
また、私の友人にもシングルマザーが居て、以前から決して豊かな生活とは言えない状態でした。そこに新型コロナウイルス感染症が流行して、一段と生活が苦しくなったので行政に相談しようとしたところ、感染症対策で予約が必要という状態でした。ならば自分で支援をしていこうと。それも、子ども食堂を立ち上げたきっかけですね。
 

(画像提供:八幡さん)

 

テンプル食堂が立ち上がるまで

   

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掲載日: 2023.03.01

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