「お念仏をよろこぶ人の姿が僕の原風景です」仏教と向き合い続けた釈徹宗さんの生い立ち<前編>


仏教って何が良いんだろう。
 
改めて考えてみると、正解があるようでない、簡単なようで難しい、そんな問いです。
今回のインタビューは釈 徹宗(しゃく・てっしゅう)さん。浄土真宗の僧侶でありながら、宗教学の研究者としてもご活躍され、コメンテーターとしてテレビなど多くのメディアにも出演されています。前編では、そんな釈さんの生い立ちについてうかがいながら、現代における仏教の魅力をお聞きしました。
 
 
 

釈 徹宗さん(写真提供:釈さん)

 

「お寺の子らしく」がとても窮屈だった

 
――まず、釈さんがどのような人生を歩まれてきたか教えてください。幼少期や学生時代はどのように過ごされてきたのでしょうか?
 
釈 徹宗さん(以下:釈):大阪のお寺の長男として生まれました。地元の人たちに囲まれていたし、周りは僕に対して「お寺の子」として接してくるので、物心ついた頃から「それらしく振舞わなきゃいけない」と思いながら生活していました。ずいぶん窮屈に感じていましたね。
 
――「お寺の子」らしく振舞おうとすることで、自分を抑えられていた部分もあったのでしょうか。それ以降も「お寺の子」という意識を持って生活されていたのですか?
 
:いえ、私立の中学校に進学したことで、環境がガラッと変わりました。
僕のことを誰も知らないし、「お寺の子」として接してくる人もいない。まるで夜が明けたような解放感を覚えました。
ですが、高校1年生のときに祖父が亡くなったことを機会に、一刻も早くお寺を手伝わないといけないという状況になったんです。基本的な知識を身に着け、僧侶になる資格を取った後、すぐにお寺に専念することになりました。
 
――高校生で一気に僧侶になられたのですね。その後はお寺に専念されることになったのでしょうか。
 
:一応龍谷大学に進学はしたんですが、お寺が忙しかったことに加えて、モチベーションが中途半端で……。実は大学にはあまり通いませんでした。それで構わないと思っていたし、卒業後はそのままお寺に専念することになるだろうと思っていたんです。
ところが大学4年生のとき、ゼミの先生が僕の卒論を気に入ってくださり、大学院進学を勧めてくださったんです。一度断ったのですが、熱心に勧めてくださったので籍をおくだけのような形で残ることにしました。
 
――今のお話からすると当時の釈さんは、研究という分野にそれほど興味がなかったような印象を受けました。現在の釈さんは研究者としてもご活躍されていますよね。何か心境の変化などあったのでしょうか?
 
:博士課程に進んだときに、初めて研究が面白く感じ、そこから研究者の道に進み始めました。ただ、真剣に研究を始めると、自分のやりたいことと龍谷大学でやってきたことが違う感じがして、もう一度別の大学へ入り直したんです。
 
――釈さんのやりたいこととは何だったのですか?
 
:人間と宗教の研究です。僕は、宗教の「教え」よりも、それを信じている「人間」に興味がある、ということに気付いたんです。
僕は子どもの頃からすごく熱心にお念仏する人たちに囲まれて暮らしてきて、その人たちがどうしてあんなに純粋に仏教を信じられるんだろう?どうしてあんなにお念仏をよろこべるんだろう?とずっと疑問に思ってきました。だから、人間と宗教の関係に興味があったんです。
 
 

原風景は、お念仏をよろこぶ人たちの姿

   

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掲載日: 2021.12.01