年を重ねていくことの美しさ【釈尊のことば】
年を重ねていくことの美しさ【釈尊のことば】
(写真:写真AC)
(『本願寺新報』 2015年(平成27年)5月20日(水)号より)
この長老とは特に仏教的な意味でなく、尊敬に値する人、素敵な老人といった広い意味でしょう。
仏教で老いることは、人生が苦に充ち満ちていることを象徴する四苦のひとつに数えられていましたが、この句はどう理解したらよいのでしょう?
世間では、年配者だけではなく、若い人でも、「年はとりたくない」と願うようです。なぜでしょう?身体が衰え、いうことをきかなくなるから?若い人たちは容姿がかわっていくのが嫌なのでしょうか?
仏教には「諸行無常」という基本的な考えがあります。すべての物事は、宇宙開闢(かいびゃく)以前の遙かな過去から、一瞬も留まることなく、生成、変化、消滅をし続けてきているという事実です。そして「すべての物事」というのは、対象世界のことだけでなく、この私たちもまた含まれているのです。世界も私も、すべては変化していき、しかも自分の願いや思いどおりには変化していかない!ですから、釈尊は、諸行無常という厳然たる事実を見抜き、しかもそこに執着しないようにと教えたのです。
確かに、この句にはそういう意味もあるのでしょうが、この句にはさらに豊かな響きがありますね。 私も世界も、すべての物事は関わり合って存在しています。その中で、私たちは日々に世界と出会い、人々と出遇(あ)い、生きているといえるでしょう。喜びだけでなく、悲しみも、この世界の事実ではないでしょうか。そういう経験を日々に重ねていくことが年をとる、年を重ねていく、ということの美しさなのではないでしょうか?
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