お仏壇のニーズがV字回復したのはなぜか?│株式会社はせがわ代表取締役社長新貝三四郎さんインタビュー<前編>

 

写真提供:株式会社はせがわ

 
――新型コロナウイルス感染症の拡大で多くの小売業が打撃を受ける中で、御社はV字回復されたそうですね。好調の要因は何でしょうか?
 
新貝:新型コロナウイルス感染症の拡大は深刻で、弊社としてもいのちのはかなさと尊さをあらためて認識しました。2020年4月から5月にかけて、緊急事態宣言が発出された期間中は130店舗の営業店や営業所のほとんどを閉めることになりました。ところが宣言が解除され、営業を再開した直後から、予想以上にお客様にご来店いただきました。休業期間中はコールセンターにいつ店舗を開けていただけるのですか?という問い合わせが殺到しました。
今年も依然として新型コロナウイルス感染症の脅威が収まらない中でも、多くのお客様がご来店くださっています。一因として、感染を回避するために、限られた選択肢の中で失敗のない買い物をしたいという消費者心理があるようです。もともとお仏壇は高い買い物なので、複数店舗を訪れて見比べるものですが、はじめから認知度の高い弊社に絞ってお選びいただくケースが増えています。お仏壇は生活必需品ではないという見方もあるかもしれませんが、やはり日本人のアイデンティティという面では心の必需品なのでしょうね。
 
手を合わせ、いのちのはかなさや、先祖のご苦労のもとにいまの自分があると自覚することは大切な精神文化です。日本人にとってお仏壇は大切で、欠かせない商いだということをあらためて認識し誇らしく思いました。
 

写真提供:株式会社はせがわ

 
――そもそも、お仏壇はなぜ求められているのでしょうか?
 
新貝:お仏壇は、人がより良く生きていくために必要なものだと考えています。この私は、ご先祖さまがいたからこそ、ここに存在しているのです。ご先祖さまをさかのぼると、3代さかのぼると8人、25代さかのぼると3,355万人以上のご先祖さまがいらっしゃいます。そのうちの一人でもいらっしゃらなかったらこの私は存在しないということは、紛れもない事実です。ご先祖さまが積み上げてきた徳のおかげで存在しているのです。この不安定な世の中において、何のために生きているのかと不安な思いを抱くこともあると思います。そんなとき、手を合わせる拠り所があることが重要だと思います。「お蔭さま」という思いがあってこそよりよく生きられると思います。
 

写真提供:株式会社はせがわ

 

インタビューは後編に続きます。後編では、お仏壇の継承について、お寺や僧侶の役割について聞かせていただきました。
 
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個人主義の時代。後ろ姿で伝える利他の心。│株式会社はせがわ代表取締役社長新貝三四郎さんインタビュー<後編>

   

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掲載日: 2022.01.13

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