簡素化する葬儀 ゆるぎない仏教の価値|株式会社寺院デザイン代表取締役 薄井秀夫さんインタビュー<後編>

 

薄井秀夫さん(画像提供:仏教タイムス)

 
寺院運営の戦略づくりや永代供養墓の広報、ホームページの作成など多様なサポートを展開されている薄井秀夫(うすい・ひでお)さんへのインタビュー。
後編となる今回は、お寺や葬儀の今後についてうかがったほか、株式会社寺院デザインが携わる「葬式仏教価値向上委員会」や「日本弔い委任協会」についても教えていただきました。
 

 

お寺はなぜ〇〇をする?

 
――葬送の簡素化が進む中で、お寺は葬儀やお墓をどのように提案すべきでしょうか?
 
薄井秀夫さん(以下 薄井):たとえ葬儀のカタチが変わったとしても人びとが葬儀をしなくなる、という状況だけは避けたいものです。葬儀の意味の説明や工夫がより一層求められると思います。それとやはりお布施・お金の問題は大きいです。お布施を明示することはタブーなのかもしれませんが、目安の金額をある程度示すこともニーズとしては存在します。最近は地域社会の中で目安を教えてもらえなくなったため、何らかの形で伝えるのはお寺の役割だと思います。檀家制度のことも説明し、その必要性を伝えていく必要があるでしょう。いたずらに新しいことを始めるよりも、いま行っていることの意味を伝えていくことが大事です。
 
――新型コロナウイルス感染症の拡大がお寺にもたらした影響はありますか?
 
薄井:新型コロナウイルス感染症の拡大は、葬送の簡素化・個人化を加速させました。ただ、これはもともとあった流れが早まっただけだと思います。家制度がなくなって、核家族化しているため、葬送の簡素化は必然です。それに加えて、よくわからないものにお金を払わないという消費者心理があります。葬儀の流れや意味がわからず、戸惑ったり退屈だと感じる参列者が増えています。
 
戦後すぐくらいまでは野辺送りの葬儀が主流でした。棺に入れて、本堂に向かう。そして死者を墓地に送る。あの世に送るという大きなストーリーを体感できるのが葬儀でした。葬儀の意味や価値が体験的にわかるということが重要です。火葬が普及して、地域社会が葬儀をサポートできなくなったことが一因となり、いまの葬儀の形ができました。葬儀の意味を実感しづらくなったのです。これからは参加し、体感し、理解できる葬儀が必要だと思います。言葉にしなくても体感していただける設計が理想ですが、少なくとも儀礼の意味を説明することから始めるとよいのではないでしょうか。
 
――宿坊や福祉事業等、新たな事業を展開するお寺もあります。有望な事業は何でしょうか?
 
薄井:特に福祉はお寺が関わるのにふさわしいお仕事だと思いますが、とても大変なので覚悟とノウハウが必要です。葬儀がだめなら他のことを始めようというつもりではうまくいきません。私としては、宗教的な側面でも経済的な側面でも、今後もお寺の柱は葬儀だと思います。50年後、100年後の葬儀は簡素化、個人化しているのは間違いないと思いますが、それに対してお寺が工夫し対応できる余地はまだまだあると思います。
 

「葬式仏教価値向上委員会」と「日本弔い委任協会」とは?

   

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掲載日: 2022.03.15