縁起でもない話をしませんか?ー地域と繋がる、鹿児島県 井上 從昭住職の取り組み

「そんな、縁起でもない!」
 
老いや、病気、そして死の話は、「縁起でもない」と避けられがちな話題ではないでしょうか?ですが、だれもがいずれ通らなければならない道であることもまた事実です。
そんな、「縁起でもない話」を「しようかい?」と、積極的に語り合う場があります。その名も「縁起でもない話をしよう会」です。
 
今回はこの「縁起でもない話をしよう会」を企画、立ち上げられた鹿児島県 本願寺派妙行寺の井上從昭(いのうえ よりあき)住職にお話をうかがいました。インタビュー前編では、この会を立ち上げられたきっかけや経緯、そして活動を通して得られた気づきについてお話しいただきます。
 

鹿児島県妙行寺 井上從昭(いのうえ よりあき)住職 ※写真は全て井上住職ご提供。

 
「語ること」が大事なんです。
 
ーー「縁起でもない話をしよう会」とは、どのような会なのでしょうか?
 
井上 從昭さん(以下:井上):「縁起でもない話をしよう会」とは、2017年7月より行っているイベントで、「語ること」を大事にしているのが特徴です。医療や福祉の業界でご活躍されている方をゲストとしてお招きし、2時間のうち、最初の1時間は話題提供をしていただいています。その後、残りの1時間で参加者は4〜5名のグループに分かれ、その日の話題に沿って語っていただいています。
医療の方がお忙しくなる1月を除いて、2か月に1度の間隔で開催しておりましたが、現在は新型コロナウイルス感染症の影響で人を集められなくなったので、YouTubeで話題提供のみ配信するかたちで継続しています。
 
ーーどういったきっかけで始められたのでしょうか?
 
井上:もともと、私がこれまでの活動の中で医療者や福祉の方々との接点を持っておりまして、そうした接点を自身の所属寺でご門徒の方々にもつなげたいと思っていました。
もともと、ご公演に来ていただく機会は作っていましたが、改めて2016年にその医療や福祉の関係の方々にお集まり頂いてシンポジウムを行ったんです。
私の所属寺がある鹿児島市の南部地域は高齢者の方も多いので、「地域での見守り」をテーマにしました。
そして、シンポジウムの打ち合わせや反省会を通して、主催者自身が医療者の方々や福祉の方々とじっくりお話をする機会はあまりないことに気づいたのがきっかけです。
 
ーー「語る」という部分が大きなポイントだと思いますが、なぜ「語る」を織り交ぜたのでしょうか?
 
井上:具体的にどういった形にするかを検討する段階で、シンポジウムのスタッフでファシリテーションが得意な方が「単に話しを聞くだけではなく、みんなで語り合うことを大事にしてはどうか」と提案されたんです。
まずは専門職の方に話題提供をしていただいて、その後4名から5名ほどのグループに分かれて、話題に沿って語り合うという形に決めました。話し合いも、答えを決めたり話題をまとめようとするのではなく、あくまでも話し合う過程を大切にしました。
 
ーー初回を迎えて、参加者からはどんな意見がありましたか?
 
井上:最初は単にお話を聞く会だと思って来られている方が多かったと思います。「なんか、ドクターの講演があるらしいよ」って。
実際、講演は行いますが、後半は語りの会なので、その部分に戸惑われた方がいらっしゃったのは事実です。ですが、多くの方は1回目を終えて、実は語るのがすごく楽しいんだと気づかれますね。
特に医療関係や福祉関係の方は、(一般の方々と)語り合う機会そのものが少ないようで、こうして自身の思いを語ったり、他人の思いを聞いたりできるのが非常に楽しいと評価してくださっています。そうした気づきもあり、2回目以降は「みんなで語る場」として認識していただいたように思います。
 
ーーそうした専門職の方々とはどういったご縁の結び方をされたのでしょうか?
 
井上:私の所属寺では、ご法座だけではなくて、セミナーや地域の方々みんなで学ぶ機会も作っています。医療や福祉を取り扱ったものなので、関心を持って来られたドクターさんや看護師さんの方と親しくなって「ちょっとお話をしていただけないですかね?」と声をかけて来ていただくことが多かったです。
 

妙行寺さんで行われている「哲学カフェ」の様子。「なぜ夏の終わりは寂しいのか」といったテーマを設定し、参加者同士が語り合う内容となっている。お釈迦様の言葉をテーマに語り合う、「哲学読書会」と併せて、非常に人気のあるイベントだという。

 
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掲載日: 2021.02.03