長続きしない「運動」を続けてもらうには?|100 歳まで歩いて通えるお寺プロジェクトー大阪府幸教寺<後編>

 

(画像提供:石原さん)

 
100歳まで歩いて通えるお寺プロジェクト(100PJ)。大阪市生野区の幸教寺を中心に行われている、お寺を活用したプロジェクトです。「健康寿命の延伸」をテーマに、「ココカラ相談所」「ココ カラYOGA」「大阪府看護協会『まちの保健室』」という3つの活動を展開されています。
後編では、引き続き幸教寺住職の石原 政洋(いしはら・まさひろ)さんと、理学療法士の板矢 悠佑(いたや・ゆうすけ)さんに、「ココカラ相談所」を中心にお話を伺います。
 

 

ゆっくりと、ざっくばらんに

 
――「ココカラ相談所」のイベントの流れを教えて下さい。
 
板矢 悠佑さん(以下:板矢):タイムスケジュールを決めていないので、毎回変わりますが、参加者が来られたら台帳に名前を書いてもらい、資料を受け取って車座に座っていただきます。続けて自己紹介を行い、会が始まっていく、という流れですね。
 
――スケジュールは決められていないのですね。
 
板矢:当初は時間や定員をきちんと決めてやっていましたが、型にはめようとすると場が硬くなってしまうので、ゆとりを持たせたスケジュールにして、あとはその場の流れに任せるようにしました。
ご住職も私も、健康のことを伝えたい気持ちがあります。でもその気持ちが強すぎると、強制感が出てしまうんですよね。
 
石原:レクチャーをするというよりは自分自身で楽しんでいただくような方向性でやっています。 正論を振りかざそうとすると、どうしても場の空気が硬くなってしまいますよね。そうではなく、 「気軽に行こう」をモットーに場を展開しています。
 
板矢:なので、どういう方向に場が進むかはその時次第です。その分、主催者はコミュニケーション能力が試されますが、我々も身構えずに偶発的な出来事や反応を楽しんでいます。話がまとまらない時もあれば、ずっと喋って帰るだけの時もあります。
喋って帰るだけと言っても、その会話の中で身体やこころの悩みや愚痴も含まれていることが多く、参加者も満足されて帰っていかれますね。
 
――自己紹介して、その後はどういったコミュニケーションをされているのでしょうか?
 
板矢:司会は私が行い、自己紹介が終わったあとは参加者に前回を振り返る形で話しかけ、参加者同士をつなぐように心がけています。そうすることで継続性も生まれますよね。
 
――参加者同士が話せると居心地が良くなりますよね。
 
板矢:そうですね。同時に、参加者の趣味や経歴と言った特徴が見えてくるので、アドバイスの方法が広がるのではないでしょうか。
 
――握力などの測定はその後に行われるのでしょうか?
 
板矢:そうですね。膝が痛くて足の力が弱そうな人が居たら、全員で一緒に身体測定をして原因を探っていきます。一度みんなでやってみましょうと。話の流れを切らないというか、その流れで行うことがポイントです。
 
――全体でどれくらいの時間をかけているのでしょうか?
 
石原:時間は2時間くらいですね。通常は 14 時から 16 時の間に行っていますが、16時から18時のときもあります。
 
――結構、長い時間をかけて行われるのですね。
 
板矢:そうですね。30 分では慌ただしく、窮屈な印象を与えてしまいます。その意味では、お寺の時間軸はのんびりしていて、高齢者の生活とマッチしているのかもしれません。
 

地域にお寺の存在を

 

(画像提供:石原さん)

 
――これまでに100PJのプロジェクトを行われてきて、何か気付きや成果はありましたか?
 
石原:100PJ の参加者がお寺の別の行事に参加してくださったり、私が自転車で走っていたらお声がけしてくださったりと、ご門徒さま以外の認知度が上がりました。この催しが新たな接点づくりになっています。
他には、生野区の活性化を目標に活動している一般社団法人「いくのもり」という団体にお寺の活動を取材していただいたり、地域包括センターや社会福祉士、ボランティアの方に活動の紹介 を依頼されたり、徐々に地域でのお寺の認知が広まりつつあります。
 
板矢:催しを行って、改めてお寺がコモンズであることを確認できました。多様性を認められる度量がお寺には整っていると思います。
僕が望んでいる運動施設の形態はコモンズです。病気の有無や年齢など様々な分け方があると思いますが、そのような分け方は無しにして、誰でも参加できる運動の場として、お寺は最適だと気付くことができました。
 

つまらないことを続けてもらうには?

   

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掲載日: 2022.03.30