人生の最期に、最高の一枚を|お寺で遺影撮影会−広島県崇興寺
亡くなった時、祭壇に掲げられる「遺影」。亡き人との思い出を偲ぶ際、とても大切なものです。一方で、どんな写真を遺影に使うか、苦労することもしばしばあるのではないでしょうか?
広島県崇興寺では、そんな遺影を事前に撮っておこうという催しが行われています。その名も「遺影撮影会」。今回は、そんな遺影撮影会の様子を住職の枝廣慶樹(えだひろ・きょうじゅ)さんにお伺いしました。
遺影に使う写真がない!そんな問題が起こらないために。
遺影撮影会の様子(引用:崇興寺公式webサイト)
ーー崇興寺さんでは「遺影撮影会」という催しを行われていると聞きました。これはどういった催しでしょうか?
枝廣 慶樹さん(以下:枝廣):その名の通りではありますが、遺影を撮影する催しです。本堂の一角にカメラや照明機材を設置し、参加者の写真を撮影しています。主に崇興寺の門信徒の方々が対象で、2019年より年に数回ほど行っています。
ーー催しの流れを教えて下さい。
枝廣:参加者の方には一張羅や着物などおしゃれな服装で来寺していただき、最初におつとめと法話、その後、美容師の方のご協力のもとヘアセットとメイクを行います。メイクが終わったら、私が何枚か写真を撮影し、最後にお好みの写真を選んでいただきます。
催しの当日はここまでで、後日、私が画像編集ソフト「Photoshop」で写真の補正処理を行い、綺麗な状態にします。写真が仕上がったらB5サイズぐらいの紙にプリントアウトして、写真データと一緒にお渡しする、というのが一連の流れです。
ーーご活動を始められたきっかけをご教授ください。
枝廣:広島市内のある寺院が撮影会をされていたのをSNSで見て、これは良い企画だなと(笑)。というのも、私が学生の頃からカメラが趣味で、機材も揃っていたんです。また人物を中心に撮影していたので、遺影も撮れるのではないかと思い、試しに崇興寺でもやってみようと始めたんです。
また、遺影の撮影はニーズがあるとも思っていました。お葬式の際、棺や装束、式の手配といったことは基本的に全て葬儀社に任せることが出来ますが、唯一、写真だけはご遺族が用意しなくてはいけませんよね。写真のことで悩まれる方も多いらしく、最近こそスマートフォンが普及し、写真が手軽に撮れるようになりましたが、それは若者世代が中心で、ご年配の方だと写真がなくて困ってしまうことも多いらしいんです。ましてや、遺影になりうるような写真ってなかなか撮らないですよね。
そうした課題もありつつ、遺影撮影会をはじめました。
ーー参加者のお声など、ご活動の成果や気づきをご教授ください。
枝廣:やっぱり、綺麗な写真を残したいというニーズは確かにありました。
撮影後、直してほしい部分をお尋ねしますが、しわやシミを消してほしいとか、まぶたを修正してほしいといった要望をたくさんいただきます。そしてその要望どおりに修正してお渡しすると喜んでいただけるんですよね。その様子を見ていると、やっぱり写真のことを気にされているんだなと感じます。一番綺麗な写真を撮れて良かったというお声を頂いた時は嬉しかったですね。