現代アート×お寺!お寺ってこんなに面白い場所なんだ│東京都照恩寺<後編>
(写真撮影:写真家 鈴木智哉さん)
前回に引き続き、照恩寺ご住職 溝口賢亮(みぞぐち・けんりょう)さんにお話を伺っていきます。今回は、照恩寺で行われている現代アートの展示について詳しくお聞きしました。
再確認する浄土真宗寺院の魅力。これからのお寺のカギは「法座」!│東京都照恩寺<前編>
お寺でなぜアート?
――照恩寺さんは法座とは別にアートの展示もされていますよね。
溝口賢亮さん(以下:溝口):はい。お寺で現代アートを中心とした展示を行っています。絵画に限らず、立体、映像、空間そのものを活用するなど形はさまざまあります。
――お寺で展示を始められたきっかけはどのようなものだったのですか?
溝口:備後教区で宗務員をしていたときに、瀬戸内海で今も行っておられる「直島アートプロジェクト」を訪れました。そこで古民家での現代アートの作家によるインスタレーション作品に衝撃を受けました。これをお寺という伝統空間で行ってもらえれば、すごく面白い世界が出来るのではないかと。そのときは、アートをご縁にしてお寺のネガティブなイメージを変えられるかもしれないと思っただけだったのですが、始めてみるとアートと仏法が似ていることに気づきました。
照恩寺を舞台にした映像作品をインスタレーション風に公開(写真提供:溝口さん)
冨井大裕展「一寸」より(写真提供:溝口さん)
――どのようなところが似ていると思われたのでしょうか?
溝口:現代アートは、現代を生きる作家さんの社会に対する思いなどをアートとして表現することで見る側に投げかけていく。見る側はそれに対して、感動したり疑問を持ったりしながら、自分にはない価値観や、新たなモノの見方を知っていくんです。感じるアートであり考えるアートですね。仏法に触れるときも、モノ・コトの受け止め方が変わったり、ハッとしたりする瞬間がありますよね。現代アート、仏法のどちらにも「自分の知らない世界に気づく」という面白さがあるんですよ。
どちらも感覚的部分があると思うんです。理屈を超えた、自分の物差しでは測れないものに出会う体験はとても大事なことですよね。
――確かにアートと仏法は近いように思います。潜在化している問題意識が問いかけられることで顕在化してくるところが似ていますね。