現代アート×お寺!お寺ってこんなに面白い場所なんだ│東京都照恩寺<後編>
照恩寺の現代アート展示会
長谷川 繁展「目面屠森くん」より(写真提供:溝口さん)
――初めて照恩寺さんで現代アートを展示されたときのことを教えてください。
溝口:初めて展示したのは 2018年ごろでしょうか。当時、お寺での活動を模索していました。そんなとき、東京では若い作家さんが自分の作品を展示するスペースを見つけるのに苦労しているという話を聞いたんです。だったらお寺を活用して頂こうと、知り合いをつたって声をかけていきました。実際に活用いただくと、その需要があったことを実感しましたね。
――どういった方が展示会に来られますか?
溝口:普段お寺へ来ることがない人が殆どなので、まず畳のある空間に新鮮さと同時に親しみを覚えてくださいます。お香の香りや伝統空間のこしらえは眠っていた日本人の心を呼び覚ましてくれるようです。
――どのくらいの頻度で実施されているのでしょうか?
溝口:展示はほぼ毎日行われています。私は、期間限定の行事ではお寺の良さが伝わりきらなくてもったいないと思っているので、催し事の日だけ来てもらうのではなく、いつでも何かしら行われている状態を目指しています。アートの展示を始めた頃は展示してくださる作家さんを探すのに苦労しましたが、2019年頃から、ご縁があって作家さんをご紹介くださる人と知り合いました。それからは基本的に月替わりで展示会が行われています。
――展示は本堂でされているのですか?
溝口:基本的にはお寺全体を展示空間として開放しています。ですから本堂はもちろんのこと和室や中庭、回廊といった至る所が展示スペースです。実際に活動している宗教空間に作品を置いてもらうことによりお寺を肌で感じてもらえるようにしています。
――展示会に来られた方を迎える際、こだわられていることや気を付けられていることはありますか?
溝口:出来るだけ、ここはお寺だと意識して下さるようにしています。どうしても展示が目的で来られた方は「ここはお寺という名のギャラリー」だと思われてしまうので、来られた方には「いらっしゃいませ」ではなく「ようこそお参りくださいました」と声をお掛けするようにしています。また、可能な限り僧侶の姿で出迎えるようにしています。
――前編では「月に1~2人くらい新しい方がお参りされている」とお話しいただきましたが、アートを目的に来られた方が法座にもお聴聞に来てくださったら嬉しいですよね。
溝口:そうですね。お参りくださる方もおられますが、繰り返してお聴聞くださるかというと、この点はこれからの課題ですね。