想像力を育む絵本(前編)
題:『まじかるきのこさん』
作・絵: 本 秀康
出版社:イースト・プレス
価格:1365円
絵本コーナーでひときわ異彩を放つカラフルで不思議な表紙。気になる題名とサイケデリックな絵を見るだけで「一体どんなはなしなんだろう?」とワクワクした気持ちになります。
きのこ研究発表会に向けて、「珍しいきのこはないかしら?」と歩き出すきのこ博士のきのこさん。“歩くきのこを”を見つけたきのこさんは、持っている不思議なきのこを食べて体を小さくしたり羽を生やして空を飛んだりして執拗に追い掛けていきます。
『不思議の国のアリス』のようなストーリーですが、違いは絵本ならではの自由な発想と展開があること。そしてカラフルな色使いにより読んだ人の“想像力”を刺激してくれることです。子どもに読み聞かせする事で冒険心が芽生え、「こんなきのこがあったらいいな」と新しいアイデアを次々と生み出してくれます。
~保育園5歳児クラス 読み聞かせ結果~
手遊びにより子どもの視線は保育者へと惹きつけられる中、後ろに隠していた絵本を勢いよく登場させると、「それなにー!!?」と目をキラキラと輝かせている子どもたち。インパクトのある絵本の表紙を利用して、静から動への移り変わりを楽しませます。表紙をめくって1ページ目にはきのこさんが実験をしている姿と様々な機械が描かれています。これを見て「いいなぁ~こんなのしてみたいなぁ」と、さっそくねらいの冒険心が芽生えた様子。カラフルな絵に、「先生!このきのこキレイ!」と発見が絶えません。きのこさんが様々な不思議なきのこを使うとその効果に反応も様々。小さくなると「ちいさくなった!」背が伸びると「のびた!」目から光がでると「こわい!」…子どもの素直な反応です。読み聞かせは回数を重ねる度に視点が変わり、発見が増えます。1匹のトカゲの存在に気が付いた女の子。「トカゲが大きくなった!」と小さくなる前となってからの大きさを比べてその違いに驚いていました。背が伸びるきのこを食べて、「なんで顔はのびないのかな?」と疑問を口にする子もいました。
気に入ってくれて何度も読み聞かせをし、子どもたちに「みんなだったらどんな凄いきのこをつかう?」と質問をしました。
「きのこ食べたら勝手に掃除機が掃除してくれる!」
「歩くきのこと同じ大きさになって、仲良くなれるきのこ食べる!」
「ぬいぐるみのクマとお話ができるようになるきのこ!」
と、子どもならでは夢のあるきのこが挙げられ、「ママとパパに怒られないきのこ食べる~(笑)」という子もいました。
《後編へ続く》
(常照寺隣保館保育園 中尾俊也)
大阪府箕面市白島2丁目15-12
常照寺隣保館保育園は
「公益社団法人 日本仏教保育協会」
「浄土真宗本願寺派保育連盟」