かつて松林のあった海岸沿いに、丸太で組まれた三角形がどこまでも続いていた。 見慣れない風景をしばらく歩きながら眺めていると、男性がしゃがみ込んでいるのが見えた。 近寄ると、松の苗木を植えているところだった。 「津波で全部流されちゃったからね」 男性は苗木を植える手を止めずに答えてくださった。 丸太は、苗木を守るための風除けなのだそうだ。 「震災が起きたとき大人は何やってたんだって、子どもや孫に言われたくないからね」 遠く続く苗木の列を見つめる眼差しは、お子さんやお孫さんの将来を見つめるかのように、どこか優しいものだった。

撮影（安部智海）

2015.9.29更新

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