【コラム】うさぎと一緒に暮らす前に考えておきたいこと
【コラム】うさぎと一緒に暮らす前に考えておきたいこと
ペットと言えば犬や猫がメジャーですが、それとは別に、根強い人気を持つのがうさぎです。小学校の校庭で飼われていて、生き物係として彼らと触れあった思い出のある方も多いかもしれません。
草食性のうさぎはふわふわのもこもこで、まるでぬいぐるみのよう。
でも彼らにも、彼らなりの心があります。
私たちと同じいのちなのです。
一緒に生きるなら、どんなことに気をつけるべきなのか。
いったいどんな準備が必要なのか。
大阪でうさぎの保護活動をされている一般社団法人リバティ代表の藤田敦子(ふじた あつこ)さんより、コラムをご寄稿頂きました。
うさぎと聞くと、ふわふわして可愛くて、鳴かないからおとなしいイメージをお待ちの方も多いでしょう。
ペットショップでの販売価格も比較的安く、犬や猫のように鳴くこともないので集合住宅でも気にせず飼うことができるため、近年うさぎの飼育数が増えています。
■うさぎを飼う、その前に
しかし、残念ながらその人気の陰で捨てられるうさぎがいることをご存じでしょうか。
「思ったより飼いにくい」
「アレルギーが出た」
「子供が噛まれた」
「飼育費や医療費がかかる」
これらは、私たちに引き取り依頼があった理由の一部です。
うさぎを飼う前に、しっかりと飼育について学び、対策をすれば避けられる問題ですが、おとなしくて可愛いイメージのまま飼ってしまったのかもしれません。
もちろん間違いではありませんが、うさぎは地面を掘ったり、齧るということが習性としてあり、ペットとして飼育されていてもその習性は残り、床を掘ったり柱や壁を齧るということもあります。家電のコードを噛みちぎられたという飼い主さんのお話もよく耳にします。
私も飼育初心者の頃は、電話が2度も不通になり、パソコンも繋がらないことがありました。
これらのことは、私たち人の暮らしが不便になるというだけでなく、誤食によりうさぎが死んでしまうことや、やけどや感電ということもあり得るので気をつけなくてはならないことです。して欲しくないことをしないようにしつけをすると言うよりは、むしろそういったことをされないように飼い主側が前もって準備をする必要があります。
■うさぎとお付き合いをするならば
おとなしいうさぎでも、自分がされたら嫌なことがあれば噛むこともあるでしょう。
実際に、動物園のふれあいで子供がうさぎに噛まれて怪我をしたり、指を骨折したりといった事故も起きています。
学習能力も高く、嬉しいことも嫌なこともすぐに覚えます。
年に数回換毛もある毛や、主食である牧草によるアレルギーが原因で飼育を継続出来ないということもあるので、飼う前にアレルギー検査をすることもお勧めします。
そして、うさぎを診察してくれる動物病院もまだ少なく、どの動物病院でもうさぎを診察できるわけではありません。大きな治療となれば、遠方の病院に通わなければならないこともあり得ます。
うさぎの寿命は7~8年と言われてきましたが、近年は10年を超えるうさぎも多く、15年17年というご長寿さんもいます。
もちろん病気になれば医療費もかかりますし、夏の暑さや冬の寒さ対策としてエアコン等の電気代、月々のエサ代も考えなければなりません。
■うさぎがイヤがること
また、犬や猫のイメージで、うさぎも簡単に抱っこが出来ると思われている方も多いようですが、うさぎは本来被捕食動物なので、押さえられたり抱えられたりすることは苦手です。
自然界で捕食される側のうさぎは、素早く逃げられるように骨が軽く作られており、強く押さえることや、間違えた抱え方により、骨折してしまうこともあります。
更に、体調が悪いことを隠す習性があるため、エサを食べないなと様子を見ていたら、数時間後には死んでいたということもあります。
“うさぎは寂しいと死ぬ“
というのはドラマの中のセリフで、実際には寂しいだけで死ぬということはありませんが、病気や体調異常を隠すため、毎日しっかり様子を見る必要があることから、このような言葉が生まれたのかもしれません。
■それでも、うさぎと一緒に生きていく
少々ツンデレなうさぎさん。
飼い主側が寂しくて死んでしまうかもしれませんね。
もちろん一緒に暮らし、愛情込めてお世話をすればなついてくれます。
かまって欲しい時はうさぎの方から鼻先でツンツンと突いてきたり、足元を8の字にクルクルと回り、時にはジャンプをしたりと、体を使って嬉しさを表してくれることも。
犬のように尻尾を振って飛んできてはくれませんが、正しく飼えば飼い主の側に寄り添ってくれ、表情から気持ちを汲み取ることもできるようになります。
うさぎに限らず、ペットを迎える前にはその動物の生態や習性をしっかり勉強し、ネットの中の情報だけでなく、最新の飼育本やその動物に詳しい専門家に話を聞いて、本当に飼えるのか、10年先15年先のことを視野に入れ、愛情と責任をもって迎えてあげて下さい。
Profile
こどもの頃ノラ犬に噛まれてから、動物が大の苦手なまま成長。
一般家庭で不本意に繁殖された売れ残りのウサギを飼い始め、人生が180度変わる。
青少年育成や多言語ラジオ番組制作、目の不自由な方への音訳等様々なボランティア活動、犬猫保護に携わる方々のお手伝いを経て、2007年よりうさぎの啓発イベント「うさぎSUMMIT」を開催。人と動物がうまく共存できるように、押し付けではなく冷静に活動することを目指している。
1級愛玩動物飼養管理士。