「地震」って何だ?地震大国の日本で暮らすということ【熊本地震編】

 

■はじめに

 

熊本地震の揺れと室内被害を再現した動画(動画提供:白山工業株式会社)
※無断複製を固く禁じます

 

もし、あなたがこの動画の部屋の中にいるとして、
自分や家族の身をどのように守りますか?
答えに迷った方は文末の比較動画をご覧ください。

 
 
 
2016年4月14日木曜日 午後9時26分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生。その28時間後には、より規模が大きいマグニチュード7.3の地震が続発しました。熊本市街地からほど近く、熊本空港がある益城町が2回も震度7の揺れに見舞われるという前代未聞の事態。傷ついた熊本城がとても印象深く残っている方も多いのではないでしょうか。
この地震は「熊本地震」と呼ばれ、阪神・淡路大震災新潟県中越地震と同じく、直下型の地震です。発生確率が高まっている首都直下地震など、日本に暮らす以上、どこで起こってもおかしくない直下型の地震。身近にいる大切な人を守るためにできることは何かを考えていきましょう。
 
今回は、熊本地震について前回に引き続き黒田 真吾(くろだ・しんご)さんと一緒に考えます。
 

■熊本地震とはどんな地震だったのか

 

震度7が2回も!?

 

【出典:熊本災害デジタルアーカイブ/提供者:国立研究開発法人防災科学技術研究所】

 
――自宅が震度7の揺れに2回も襲われるというのは、ちょっと想像し難いですね……。
 
黒田 真吾さん(以下:黒田):阪神・淡路大震災も、新潟県中越地震でも最大震度7の揺れは1回だけでした。同じ場所で震度7が2回というのは、観測史上(1872年〜)初めてだと言われています。(*1) 1回の震度7に耐えられる家でも、さすがに2回目は耐えられないかもしれませんね。
 
ーー2つまとめて熊本地震と呼んでいるのでしょうか。
 
黒田:代表的な揺れを起こした地震は2つで、最大規模となった4月16日(土)午前1時25分の大地震[マグニチュード7.3]を本震、それより前に起こった地震はすべて前震なのですが、一般的には引き金となった4月14日(木)午後9時26分の大地震[マグニチュード6.5]が前震と呼ばれています。また、本震のあとに続いた大小さまざまな余震も合わせて、気象庁は一連の地震活動を「平成28年熊本地震」と名付けています。(*2)
 

その「余震」は、余震ではないかもしれない

 
ーー1発目が本震で、そのあと余震が来るのがセオリーだと思っていました。
 
黒田:そのとおり、通常多いのは「本震-余震型」と呼ばれる地震活動のパターンです。ただし熊本地震のように「前震-本震-余震型」というパターンもあり、地震が発生してすぐにどちらか分かるものではなく、あくまでも後から振り返って評価されるものです。2016年の熊本地震以降、地震調査研究推進本部の方針(*3)に基づき、緊急的な気象庁の発表やNHKの報道には変化が表れています。大きな地震が続く傾向がある地域では、最初の地震よりも大きな地震が発生する可能性について知らせたり、これ以上大きな揺れが来ないという誤解を生まないように、防災上の用語として「余震」は使わず、単に「地震」と表現するようになりました。
 

【図1】新しい防災上の呼びかけのポイント
※「大地震後の地震活動の見通しに関する情報のあり方」資料に著者一部加筆

 
ーー言葉に惑わされず、繰り返し来るかもしれないと自ら思っておくといいのですね。
 
黒田:素晴らしい心構えです。実際、被害を生むような規模の大きな地震が発生すると、震源周辺の地下では地震活動が活発になります。このことは熊本地震でははっきりと数に表れていて、震度1以上を観測した地震は9月 30 日まで(5か月半の間)に 4068 回発生しています。(*2)熊本に住む友人は「ずっと揺れ続けていた」と言っていましたが、決して大げさな表現ではなく、数を見ると本当にゾッとします。(震度7:2回、震度6強:2回、震度6弱:3回、震度5強:5回、震度5弱:12 回、震度4:115 回、震度3:398 回、震度2:1107 回、震度1:2424 回)
 
なお、「本震-余震型」となった新潟県中越地震でも、震度7の本震のあと15分後、38分後に震度6強の揺れが襲ってきているわけですから、余震であっても傷んだ建物を倒すのには十分かもしれません。これらの例から、少なくとも地震直後〜数日間は同程度の地震が繰り返すものだと思って、自宅や職場の建物の耐震性が低い場合はそこに戻らない(立ち入らない)という勇気を持つことも大事だと思います。
 

直下型地震に備えるには?

   

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掲載日: 2022.04.14

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