お寺のホームページはどうあるべき?参拝者数350倍の実績を持つ寺院専門コンサルタントに聞いた|株式会社ELternalインタビュー
無視できない「検索結果」の順位
社内で行われるホームページ制作会議の様子(画像提供:株式会社ELternal)
ーーお寺が持っている情報をすべて掲載すれば良い、というわけでも無いのですね。
小久保:そうですね。本当に大事なのは「あえて」絞ることなんです。よくあるのは、アクセス数の減少を懸念して、絞ることに躊躇してしまうケースです。でも実際は逆で、情報が絞られていないと、ページ構成が煩雑で見づらくなったり、Google等での検索結果の順位も下がったりして、結果アクセスも伸びないんです。
ーー検索結果の順位も大事なのですね。
小久保:はい。参拝者の行動を考えた時、まずは検索して、検索結果から気になるお寺のページを選ぶことがほとんどでしょう。その際、検索結果に掲載されていることが大前提で、その上で魅力がないと選んでいただけません。
特定のワードで検索したときに、検索結果の1ページ目はすべてそのお寺に関連したものになっている状態が理想的であり、広報において大きな強みになりますね。
――どういうときにお寺の情報は検索されるのでしょうか?
小久保:一概には言えません。葬儀、法要行事、樹木葬など、お寺に対するニーズによって検索するタイミングは変わってきます。例えば、除夜の鐘や初詣の情報は年末年始に検索されることが多いです。また、自分自身に災いが降りかかってきたとき、気持ちに不安が降りかかってきたとき、子どもの受験合格といった願い事ができたときに、神仏へすがるという心理が働き、検索されるのではと見ています。
――ホームページで情報発信する際、気をつけるべきことはなんでしょうか?
小久保:とにかく、初見の方にとって分かりやすい内容にすることです。お寺の説明文を書く時、なるべき平易な言葉を選んでみてはいかがでしょうか。
端的に言うなら「内容でかっこつけない」ことです。かっこよさは写真やページのデザインで見せていきましょう。お寺のことを調べる人は、「かっこよさ」ではなく「わかりやすさ」ということを念頭に置いてページをデザインすると良いのではないでしょうか。
――お寺のホームページを自作する方法もあると思います。自作するのとプロに頼むのと、それぞれどういったメリットがあるのでしょうか?
山﨑 亮秀さん(以下:山﨑):自作のメリットは、自分が作りたいと思うものを実現できるところにあると思います。デザインや技術的な面はともかく、方向性や掲載する文章については製作者が思う通りに表現することができますよね。また、コストが圧倒的にかからないことも大きな要素です。ご自身で制作されることで、ホームページに対して愛着も湧きますよね。
また、使用するツール次第では手軽に更新が可能です。なので、日々更新して布教活動を行うならば、自作のメリットが大きい場合もあります。
一方、外注のメリットは閲覧者にとっての見栄えや設計の良さなど、マーケティングのノウハウがフルに活かされます。マーケティングに関しては、専門的な情報を持っているプロに頼るべき部分が大いにあると思います。参拝者を増やしたい、葬儀のご縁を増やしたいということであれば、プロに頼るという選択肢も有効でしょう。
山﨑:また、門信徒(檀家)向けのホームページであれば自作でもよいと思います。今は無料でホームページを制作できるサービスも数多くあるので、そうしたものに頼ると良いのではないでしょうか。
お寺が盛り上がることは、社会課題の解決にも繋がる?
お寺で行われたTHE LEGENDARY JAPANの様子(画像提供:株式会社ELternal)
――ELternalさんの強みはどういったところにあるのでしょうか?
小久保:我々の強みは、業界内での実績があることと、社内に僧侶が在籍していることですね。実際にお寺を運営しているので、お寺や宗教法人の事情を理解しているところに違いがあると思います。その上で、ホームページのデザインもできるといったところが大きな強みだと自負しております。
ーー今後、寺院や僧侶に期待することやアドバイスがあれば教えて下さい。
小久保:昨今「お寺の将来は厳しい」とあちこちで言われていますよね。確かに、お寺が置かれている現状は厳しいかもしれません。しかし、お寺を取り巻く環境に関しては、むしろ成長期を迎えています。
2040年まで、亡くなる方が増え続けると言われる中で、葬儀や墓地のニーズは確実に増えるでしょう。そして、日本は国として観光に力を入れています。観光地として人気なのは神社仏閣です。この2つの要素を考えると、お寺が世間の声を丁寧に聴きながら活動すれば、確実にご縁は増えますし、存続も可能だと考えています。勇気を持って一歩踏み出していくことで、日本の発展に貢献できれば良いですね。
ーー御社の今後のご展望を教えて下さい 。
小久保:弊社では引き続き、ホームページも含め、お墓や参拝といったお寺の支援を網羅的に行えればと考えています。また、今後は私が20年間で培ってきた経験や知識を少しでも仏教界のために役立てられればと思い、高い経営能力を持つ僧侶育成にも力を入れていきたいと思っております。ですからELternalでは僧侶が寺院経営に必要な経営戦略やマーケティングを学びながら働ける環境を提供しています。随時僧侶の採用も行っておりますので、将来の寺院経営に不安を感じ、何とかしたいという思いがある方がいらっしゃればお問い合わせください。
ーーありがとうございました。
編集後記
今回は、株式会社ELternalの小久保さんと山﨑さんに、お寺のマーケティングのこと、そしてお寺のホームページのことについて教えていただきました。ホームページのアクセスを増やすためには、世間の動きを分析することに加え、お寺の魅力の棚卸しが重要と言えるでしょう。
とはいえ、言葉にするのは簡単でも、実際に行動するのは難しいもの。だからこそ、専門的なサポートを行える企業が心強いパートナーとなります。また、寺院経営に必要なマーケティングを学びたい方にとっても、ELternalは心強い味方となってくれることでしょう。 小久保さん、山﨑さん、ありがとうございました。
プロフィール
小久保 隆泰(こくぼ・りゅうたい)
早稲田大学経営管理研究科卒業(MBA)。観光資源開発・神社仏閣コンサルタント。埼玉厄除け開運大師 龍泉寺代表役員
早稲田大学大学院在学中、株式会社ELternalの事業を構想し、同大学でのビジネスプランコンテストにて優勝。現場の知見を土台としたマーケティング戦略立案とクライアントの課題解決を強みとし、神社仏閣を軸とした観光資源開発において顕著な実績を残している。中でも2018年に開始した埼玉厄除け開運大師 地方創生プロジェクトでは、古刹の初詣を復活させ、最寄駅から徒歩40分という難しい立地にありながら4年で初詣参拝客を350倍(1000人→35万人)に成長させた。現在もなお、世界遺産寺院を含む神社仏閣の課題解決を自ら陣頭指揮する、日本を代表する神社仏閣コンサルタント。
山﨑 亮秀(やまざき・りょうしゅう)
大学卒業後(公財)全日本仏教会に勤務し、広報文化部次長を歴任。少子高齢化、地域の過疎化などの日本社会が直面する深刻な社会課題を解決するため、宗派を超えて多くの事業に携わる。また、現代社会が求める仏教文化の価値に着目し、多くの寺院・僧侶の活動を支援してきた。
ELternalには創業メンバーとして参画。営業戦略立案・マーケティング戦略・現場マネジメントなど幅広く経験。現在は永代供養事業「全国永代供養墓・樹木葬ネットワーク」の統括責任者として同事業を牽引。僧侶である専門性を強みとし、仏教の精神を大切にしながら、現代の顧客に求められるお墓のあり方を提案している。
永代供養墓コンサルタント、大福寺副住職。