大人も考えさせられる絵本『おこだでませんように』

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大人も考えさせられる絵本
題:『おこだでませんように』
作:くすのき しげのり
絵:石井 聖岳
出版社:小学館
 
保育士2年目の私は、子ども同士のトラブルに遭遇すると「お友達と仲良く過ごせるようになってほしい」との気持ちから、いたずらや意地悪をしてしまった子どもに対し、つい声を荒げて叱ってしまうことがあります。そんな私が、日々の自分の行いを振り返りハッとさせられたのが、つい最近読んだこの絵本でした。そして、是非、子育て中のお母さんや保育士、幼稚園の先生、小学校の先生など、子どもに関わるすべての大人に読んでいただきたいと感じるおすすめの一冊です。
 
この絵本のあらすじは、いつも怒られている男の子が、妹を泣かせては母親に怒られ、学校では友だちと喧嘩をしては先生に怒られてしまいます。本当は「ええこやねえ」と言ってほしいのに毎日怒られてしまう男の子が、クラスで七夕のお願いを書きました。一生懸命考えていると「はようかきなさい」と怒られ、ひらがなひとつずつ、心を込めて書いたのが「おこだでませんように」。先生はその短冊を見て、男の子に対して怒ってばかりであった事に気づかされました。小学校の先生は男の子の母親に短冊の事を話すと、母親もまた、男の子に対して怒ってばかりであったことに気づかされたのです。母親は男の子をぎゅっと抱きしめ、男の子は「きょう、ぼくはものすごく幸せです」と感謝するのでした。
 
男の子が楽しいと思ってしたことや、いいことだと思ってしたことも、やりすぎてしまったり、大人の都合に合わないことが結果として怒られることになったのでしょう。
この絵本を読んだ時、私自身も普段、大人の都合・保育士の都合を優先させ怒っている姿に気づかされました。保育者、教育者または親として、子どもの考えや思いを尊重しながらも日々子どもと関わっていきたいと感じることのできる絵本です。
 
紹介者:保育士・僧侶 大佛智恵
   

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掲載日: 2016.08.01

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