直接支援世帯は800世帯へ急増!コロナ禍でも拡がる支援の輪【おてらおやつクラブ】

お寺に供される「おそなえ」を、サポート団体を通して経済的困難のなかにある子どもやひとり親家庭におすそわけする、おてらおやつクラブ。
 
昨年12月の取材以降、新型コロナウイルスの感染拡大によってその活動も大きく変化したといいます。そこで、同代表の松島 靖朗(まつしま せいろう)さんに、改めてコロナ禍におけるおてらおやつクラブさんのご活動を伺いました。追加取材を通して見えてきた、ひとり親家庭が置かれた深刻な実態、そしておてらおやつクラブが迎えた変化とはーー。
 
(おてらおやつクラブの活動については、こちらの記事も併せてご覧ください)
 

一斉休校、そして減収で急増した支援を求める声
 
ーーいわゆるコロナ禍で、おてらおやつクラブさんではどのような変化がありましたか?
 
おてらおやつクラブ代表、松島靖朗さん(以下:松島):むちゃくちゃ忙しくなっています。具体的な数字で言うと、我々が事業の一環で直接支援(*1)をしているご家庭は2020年の3月末の時点で約350世帯でしたが、今では(11月現在)約800世帯に急増しました。割合でいうと、2.5倍です。
 
(*1)おてらおやつクラブでは、主に全国の子どもを支援してる団体を通じて「おすそわけ」を届けているが、団体と繋がることが難しい家庭へは直接の支援も行っている。
 
ーー半年で2.5倍もですか!それは凄まじいですね。しかし何故でしょうか?
 
松島:やはり、学校の一斉休校が大きく影響しているようです。3月1日に学校が休みになってから、特にひとり親の世帯からインターネットを通じたおすそ分け依頼が急増しました。
 
休校になり子どもたちが家で過ごす時間が増えたことで、食費や光熱費といった支出が増えました。一方、保護者の仕事は、会社の都合による自宅待機や時短勤務によって収入が減り、経済的な負担が大きくなっています。政府による給付金も、申請してすぐに振り込まれるものではありませんし、なにより当面続きそうな状況の中で、皆さん不安に思われていますね。
 
ーーやはり、影響はすごく大きいですね。これだけ依頼が増えると対応も大変ではないでしょうか?
 
松島:そうですね。急増分に対応するべく、おすそ分けの送料やスタッフの人件費として助成金を申請しましたが、その作業にかなり時間を割きました。現在はなんとか約800世帯へ直接支援を継続できていますが、今後依頼がもっと増えた時にどうするか。お供えは増やそうと思って増やせるものではありませんよね。そのような中で、いかにしておすそ分けを届けるかを考えなければなりません。
 

「ひとり親家庭への支援に関する協定」締結式の様子

 
自助・共助・公助と「仏助」を繋げて
 
ーー実際に、どのような対策を取られましたか?
 
松島:最も大きな対応として、行政との連携を強化しました。自助・共助・公助の三助が話題になっていますが、おてらおやつクラブはその三助からこぼれてしまう方々を仏助(ぶつじょ:仏さまの助け)で支援する、寺院や僧侶に出来ることは何かを考えて活動しています。しかし、仏助だけでは生活は改善しません。やはり、自助・共助・公助という三つの助けと繋がる必要があります。
 
昨今ではさまざまな公助がありますが、そういった情報が、支援を必要としているご家庭にまで届かないという問題があります。なので、私たちから日々やり取りをしているご家庭に、お住まいの地域やご家庭の条件によって受け取ることができる助成金や支援情報を届けるようになりました。
 
また、地元の奈良県と連携して、行政の窓口へ相談に来られたご家庭におてらおやつクラブを紹介して頂くようにしました。こうすることで、インターネットだけでは届かない方々とも接点を持つことが出来るようになります。
 
まとめると、ここ半年間は今まで繋がりがなかった団体との連携、あるいは今まで繋がりがあった団体とさらに何ができるかの検討、そして行政との連携が主な活動でした。変化を余儀なくされたわけです。
 
限られた環境でも、支援の輪は拡がる
 
ーーコロナ禍でお寺はどのような変化がありましたか?
 
松島:やはり、法要が中止や縮小したことでお供えが提供できなくなったところもありますし、逆にこんなときだからこそと、いつもより多くお供えを送ってくださるところもあります。
 
ーーおすそわけ発送会は現在も行われているのでしょうか?
 
松島:いいえ。奈良事務局での発送会はこれまで毎月行ってきましたが、3月以降は一切できなくなりました。なので、特定の日に大勢で集まって一斉に発送という形をやめて、時間がある時にスタッフがおすそ分けの発送作業を行っています。
 
食べ物を取り扱っていますので、衛生面には細心の注意を払っています。マスクの着用や消毒はもちろん、おすそ分けを受け取った方に安心していただくにはどうするべきか、試行錯誤をしましたね。
 
発送会は、スタッフだけではなく、参加者を募って来ていただくことで、おてらおやつクラブの活動を体感してもらう場でもありました。なので、それが出来ないのは非常に悩ましいところです。早く再開したいです。
ただ、ご希望の方がおられるときは少人数での発送作業のみ行っており、先日は天理大学の学生さん3人に、社会実習として発送作業のお手伝いをしていただきました。(詳細はこちら
 
ーーコロナ禍における支援で、大切なことは何でしょうか?
 
松島:例えば、webサイトをリニューアルするといった方法で、窓口をきちんと整えることが大事なのかなと思います。コロナ以降はインターネットでの依頼が急増しており、窓口として有効なツールであると実感しています。
 
そして、必要なモノをすぐに届けること。おてらおやつクラブでは、おすそ分けの依頼があれば、その2日後には皆さんのお手元へ届くよう、スピード感を持って発送しています。すると、「こんなにすぐ届くとは思っていませんでした」と驚かれるんですね。おすそ分けには、今や必需品となったマスクも必ず入れています。
 
必要なモノをすぐに届けることで、直接顔が見えない関係であっても、どこかで見守ってくれている人がいるんだというメッセージを伝えることが出来るのではないでしょうか。
 
ーーマスクも発送されているとのことですが、確保が大変だったのではないでしょうか?
 
松島:マスクは企業や宗派、全日本仏教協会(全日仏)さんが沢山寄贈してくださり、それをおすそ分けいたしました。
 
また、全国各地から政府支給のマスクも1500枚ほど頂戴しましたね。これは本当にすごいなぁと思いました。
政府からのマスクが我々のところへ届いたときには、既にマスクがある程度流通していたこともあるとは思いますが、何か支援したいと思う人が、自分だけでは小さな力でも集うことで大きな力になるんだと思っていただけたのなら、おてらおやつクラブを続けている甲斐がありますよね。
 

<編集後記>

 
2019年12月の初回取材から約1年。社会は急激な変化を強いられました。おてらおやつクラブもその例外ではありません。直接支援を行っている世帯数の増加率にはただただ驚くばかりです。2.5倍という数字は、コロナ禍でひとり親家庭が置かれた状況の深刻さを物語っています。
 
また、近年多発している自然災害への対応も忘れてはなりません。
実際に、おてらおやつクラブでは、そのネットワークを活かして先日の九州地方を襲った令和二年七月豪雨で被災した寺院への支援を行ったそうです。その際は、おてらおやつクラブ事務局が情報を統括し、被災していない寺院が被災寺院へ直接支援が出来るように、交通整理をしたといいます。
 
先行きが見えない不安のなか、「支援に必要なのは役割分担ではないでしょうか?」と松島さんは言います。行政、NPO、地域、寺院、宗派、個人……、それぞれが出来ることを改めて考え、連携することこそ、このコロナ禍で最も必要とされているものかもしれません。
 
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掲載日: 2020.11.20