「あなたはあなたのままでOK、大丈夫です」といえるありがたさ|ヘンリー・アダムスさんインタビュー<後編>
インド留学をきっかけに仏教に興味を持ち、現在アメリカで僧侶として活躍するアダムスさん。修行の限界を感じた末に気づいたこととは?
僧職図鑑10—ヘンリー・アダムス−《前編》
ーー日本滞在後の歩みを教えてください。
アメリカに帰国後、北米アメリカ仏教教団(以下、BCA)にコンタクトをとって僧籍を取得しようと考えました。2008年には、京都にある中央仏教学院に入学し、僧籍を取得することができました。2010年には同校研究科を卒業し、カリフォルニア州オックスナード仏教会の僧侶として赴任しました。その後現在のカリフォルニア州サンマテオ仏教会に赴任となりました。
ーーサンマテオ仏教会の日常はどんな感じですか。
月曜日~金曜日はオフィスに滞在しています。朝は9時から本堂で正信偈の読経。毎朝数名がおまいりに来られます。平日の日々は、法座、イベント事、習い事などがあります。たとえば今日は午後一時から日本語法座がありました。英語で仏教のお話をすることが多いですが、今日のように日本語でお話を聞きたい方もいらっしゃいます。土曜日、日曜日は、法事、日曜礼拝、ダルマスクール、法要があります。暇なときは、仏教について学びたい人や、お寺に興味のある人から寄せられるメールの対応など、結構忙しくしています。それから、最近は子供の世話が大変ですね(笑)
ーーメールの問い合わせでは、どんな質問がありますか?
たとえば、「わたしはキリスト教徒ですが、お寺での日曜礼拝に参加することはできますか」とか「お寺に行くときの服装を教えてください」といった質問があります。仏教徒でなくても日曜礼拝に参加できますし、また服装に関しては「教会に行かれるときと同じような服装で結構です」といった具合にお答えします。
ーーアメリカに住む人々の宗教意識は変化していますか?
そうですね。わたしの両親の世代は、どこかの宗教に属することに義務を感じていました。ところがわたしの世代になると、そうした義務感は薄れ、同時に興味も薄れています。一方でキリスト教やイスラム教の原理主義が力を持ってきています。
ーーそういった宗教意識の中でアダムスさんは、今後、どのように活動されようと考えていますか?
浄土真宗のお寺の魅力は家族全員でおまいりできることです。本堂で赤子が泣き出しても大丈夫。0歳から100歳以上の男女、どなたがおまいりいただいても結構です。人と人の関わり方が優しく、歓迎意識が強いといえます。この教えは、「あなたはあなたのままでOK、大丈夫です」というものです。救いの側が先にはたらくという教えのすばらしさを、一人でも多くの方に受け取っていただきたいと思っています。