やさしい気づきをくれる絵本

子育て1
『くっきーだあいすき』
文 間所 ひさこ
絵 岩村 和朗

出版社 金の星社

こぐまのむっくは、お母さんに焼いてもらったクッキーを友だちに分けてあげるのが惜しくて独り占めしたくなってしまいます。
そんなとき、お友だちのみみーは、たった二つの赤いいちごを、むっくと分けようと大切に持ってきてくれました。一緒に分けあって食べたいちごは、それはそれは美味しくて…
幼い子どもでも自我が目覚めると、所有欲がでてきます。私は幼い頃、初めて泊まったホテルのエレベーターを自分のものだと勘違いし、他の人が乗ってくると「あーちゃんの!」と怒って泣いたそうです。なんという傲慢さでしょう。今となってはそんな記憶もなく、ただ、たまに会う叔父や叔母にからかわれるばかりです。
むっくはお母さんに焼いてもらったクッキーを友だちに分けてあげるのを惜しいとおもってしまいます。でも、これはきっと自然な気持ち。心が育っている証拠なのかもしれません。それを「だめ!」と否定することなく、みみーとのやり取りのなかで、やさしくむっくに「みんなで食べた方が美味しいんだよ」という気づきが与えられます。
子どもとのやりとりに限らず、何かを否定することは簡単ですが、ときには新しい価値を一緒に見出していくような、そんな営みも大切にしたいものですね。

小島杏子(浄土真宗本願寺派僧侶)

2017.8/18 更新