後見人ってこんな仕事!お金のトラブルを回避|おおさか法務事務所③

前回まで、成年後見制度ができた社会的な状況や、成年後見人の役割についてお聞きしました。今回は、成年後見人が、実際にどんなことをされているか、おおさか法務事務所の後見サポートをされている、坂西涼さん、呉静香さんに伺います。
 
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<司法書士法人おおさか法務事務所インタビュー>
①介護・医療現場で起こる悩みにこたえていく、成年後見について
②亡くなった後のことをどうしていますか?死後事務を考える後見人
③後見人ってこんな仕事!お金のトラブルを回避(当記事)
④法律の専門家が考えるお寺の役割。心の不安を減らす安心の拠り所とは?
 
ーー実際に、後見人はどんなことをされるのですか?
 
坂西さん(以下、坂西):基本的にはお金に関することがほとんどです。銀行への振込や諸々の支払いが日々の業務です。
あとは本人の自宅に行って、本人の様子を見ながら随時必要な契約がないかを確認します。
 
ーーご本人の様子も見に行かれるのですか?
 
坂西:そうですね。経験豊富なスタッフが多いので、本人に会って、考えをしっかり聞き、本人から出る言葉を大切にしながら、進めていくことが重要だと思います。
 
ヘルパーさんからも「ちょっと体調が悪いんです」と連絡が来て、その時には様子を見に行きます。その方が入院されたら、その手続きしながら様子を見にいくこともありますね。
 
海外にいらっしゃる方もおられるので、そういう時は必ずメールでやりとりしていますね。ときにはお電話をすることもあります。
 
ーーご家族がいらっしゃる方の場合は、ご家族には会われますか?
 
坂西:特に決まりがあるわけではないのですが、ご本人様の体調の変化が見られる時には面談をすることもあります。
普段は本人と会うことが重要で、その中で変化が見られた時にご家族とお会いします。それ以外にも、ご家族から定期的に連絡をいただいています。
 
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ーーちなみに、契約金についてはどのような形なのでしょうか?
 
坂西:実は裁判所からの法定後見人の場合は、僕たちが報酬の額を決められないのです。全て家庭裁判所が決めています。1年間に1回まとめて報酬をもらう後払いなんです。
 
ーー年に1回の後払いなんですね!家庭裁判所はどうやってみなさんの報酬を決められているのでしょうか?
 
坂西:報酬額は、僕たちが管理してる本人の預貯金額を目安に裁判所が報酬を決めています。
 
一応の基準があります。ただ、中には生活保護に近い方もいらっしゃったり、預貯金が少ない方もいらっしゃるので、月1万円だったり月5千円だったりとか。生活保護の方に関しては、実質ボランティアですね。
 
制度上、税金の補填は全くなく、一部自治体によっては生活保護の方の後見人には、要件を満たせば、補助金が出るようにしている所もあります。
 
福祉に積極的であったり、成年後見について理解がある自治体もあります。ただ、それも全国の自治体の半分くらい。生活保護の方を引き受けてもボランティアでずっとお金の管理をしないとダメだっていうケースもあります。
 
「家族」の役割
 
ーーどうしてそういう仕組みになっているのでしょうか?
 
坂西:実は、成年後見の制度が始まった時は、その方に家族がいることが念頭に置かれていたんですね。
なので、こちらから申告しないと報酬が出ないんです。僕らでも報酬を申請しない限り、基本的には無報酬です。
 
家族がいる前提で、制度が始まったので、後見人は家族がすることを想定されていました。しかし、実際に利用される多くの方は、子どものいない方です。家族間で後見制度を使ってもらえば、額が大きいとか少ないとか他と比べたり、事業を成り立たせないといけないという形態にはなりません。
 
ーーご家族がありながらも、後見人をつける方もいらっしゃいますか?
 
坂西:ご家族がありながら、後見人を付けられる場合は、大きな目的がある方ですかね。不動産を売らないとダメな方や大きなお金を動かさないといけないとか。
 
不動産を売って、施設に入るお金や今後の生活費に当てるとか。あとは定期預金があって、それを解約をしたいけど、本人が認知症になっているので、自分で手続きができないとか。
 
あとは、遺産相続の話し合いをしないとダメだとかでしょうか。
お父さんが亡くなって、認知症になられた奥さまと娘さまで話し合いをしないといけないとか。そういった時にちゃんと法律的に成立させるには後見人が必要ですね。
 
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ーーそれを子どもだけで、やるのは大変でしょうね。。法律のことも詳しくないだろうし⋯⋯。
 
坂西:子どもの方でも裁判所が認めれば後見人の資格が与えられます。ですが、日常の生活でそんなに後見人が必要かと言われると、そんなこともありません。
 
子ども/ご家族がいれば、多くは、面倒をみてくださいます。
通帳やキャッシュカードも暗証番号がわかっていたら、そこからお金を引き出して、生活費の支払いができますよね。
ただやっぱり、何か大きな手続きをする時は、子どもがいても成年後見人が必要なのが現状ですね。
 
揉めるケースってどんな時?
 
ーーご家族で後見人になると揉めるって聞いたことがあります。例えば、長男・長女が後見人になってお金を自由にしてると、次男・次女とかが長男・長女に対して「怪しいな」と思い始めたり。そういうケースもあったりしますか?
 
坂西:そのケースですと、むしろ後見人がついてないケースで揉めることがあります。後見人がついておらず、ご家族がお金を管理してる時に揉めます。
後見人は、収支について裁判所に逐一、報告しないとダメになるので、お金を自由には使えなくなるんです。
 
お父様やお母様のためにお金を使っていかないといけません。あくまでも、預かっているお金は、後見人のものではなく、親のお金なので。
子どもが後見人をしていて、その子どもがお金を自分たちの生活費に当てることは絶対できないです。
 
裁判所に報告してるので、「こうやって裁判所も見てるじゃないか」と証明できます。なので、後見人制度を使った方が揉めにくいですよね。
家族管理だと、第三者のチェックができないので、疑心暗鬼になってしまうケースもあります。
 
ーーなるほど。裁判所への報告もあったんですね。後見制度は、ご本人にも安心で、家族にとってもトラブルを防げると思うのですが、いまひとつ認知が進んでないように思います。
 
坂西:そうですね。要因は裁判所が後見人として、家族や子どもを選ばない傾向があることです。つまり、第三者が後見人として通帳を管理することが多いということですね。
 
しかし、多くの日本人は親のお金はいずれは自分たちのお金になるとどこかで思っています。「家」単位で物事を考える傾向がまだまだあるのかなと思いますね。
裁判所が入ってしまうと、お金の使い道が本人のことだけになるので、窮屈に感じられるケースが多かったりします。
 
第三者の弁護士や司法書士などがお金を管理して、「こういうものが買いたいんです」とか、親のためであってもその都度、第三者に断りを入れないとダメになります。
それを不便に感じる方が多いのかなぁと。
 
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ーー現在、どれくらいの方が利用されているのでしょうか?
 
坂西:認知症の方が500万人くらいで、そのうち制度の利用者が40万人弱と言われているので、現状では利用されている方はまだまだ少ないです。
 
子どもさんの場合、やはり、ご両親の面倒を見るときに「柔軟にお金を管理したい」っていう思いがあるので、いちいち細かくレシートもつけて、裁判所に報告しないといけないのは煩わしいと思われる方が多いというのが私の印象ですね。
 
一方で本人も、「いずれ子どもが面倒見てくれるやろう」と思っておられるので、成年後見の知識を持っていない場合が多いです。
 
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呉さん(以下、「呉」):それに、後見人以外の方法で、対応しようとする発想も多くなってきています。「遺産分割しなくてもいいように遺言書を書こう」とか、不動産であれば、家族信託っていう別の対策があるので、それを使って後見を回避するとかですね。
 
坂西:家族構成などでやり方はかなり変わってきます。子どもがいない場合は、誰かに頼れないというところから、スタートしますので、全て契約をして自分で決めていくことにならざるを得ないです。
 
:認知症になる前に、元気なうちに考えると選択肢はいっぱいありますよってお伝えできます。家族信託という制度がありますよとか、お知らせできます。
認知症になってしまうと、もう成年後見制度しか選べなくなってしまいますので。
 
ーー
 
成年後見制度のメリット・デメリットを教えてもらい、自分の家族にとって成年後見人が必要かどうかもしっかりと、健康なうちに判断していくことが重要なように思いました。
介護や相続、お金の手続きなんて自分には関係ない!ということではなく、自分や家族の状況をしっかりと認識して、こんな制度があるんだ!と知ってもらい、制度を上手く活用していける方が増えていくことを期待します。
 
司法書士法人おおさか法務事務所「後見サポート」についてはこちら、https://olao.jp/support/
 

<司法書士法人おおさか法務事務所インタビュー>
①介護・医療現場で起こる悩みにこたえていく、成年後見について
②亡くなった後のことをどうしていますか?死後事務を考える後見人
③後見人ってこんな仕事!お金のトラブルを回避(当記事)
④法律の専門家が考えるお寺の役割。心の不安を減らす安心の拠り所とは?

 

掲載日: 2020.03.18