「親友の好きな人が自分の彼氏でした」
≪本日の僧侶プロフィール≫
・ランナー僧侶
近年のランニングブームにのり、フルマラソンを二回走破。「精神は肉体を凌駕する」というストイックな信念を持つ。
・女子大僧侶
京都の某女子大で仏教を学び、現在は大学院で研究を続けている。20代独身。趣味は、あてもなく、ピンクの自転車で街を徘徊すること。
・ビギナー僧侶
得度したてのほやほや僧侶。得度のきっかけは、交際している彼女が寺院の出身だったから。将来、住職になるかどうかは未定。
・アラフォー僧侶
幼少の頃より、生死の問題に関心を持っていたが、いつの頃からか、その答えを仏教に求めるようになる。気付いた時には婿養子として入寺し、住職後継者となっていた。
≪本日の人生僧談≫
20代女性からの相談「親友の好きな人が自分の彼氏でした」
親友の好きな人が自分の彼氏でした。相談されて困っています。友情がこわれるのが怖いけど、いつまでも隠せないし… 彼氏に相談するわけにもいかず、とても苦しいです。
ア:これは苦しいよね。でも相談にのっているのは、やっぱり変だよね。打ち明けるタイミングを逸したり、何か理由があったりして、言えなかったのかな?
ビ:なんで言えないんでしょうね。
ア:やっぱり、親友からすれば、自分の好きな人が、友人の彼氏だったとわかれば、ショックだろうからね。相談者は、やさしい人なんだろうね。でも、たとえば結婚を前提に付き合っているのならば、必ず言わないといけない時が来るよね。あっ、でもすぐに別れてしまえば、ばれないこともあるのか(笑)。
ラ:その親友とどういう関係かにもよるでしょうね。推測だけど、実はもともと三人仲良しで、この相談者が先手をうってつきあったのでは?それで、言いにくいとか。
女:でもそもそも、親友に彼氏のことを話していないって、どういうことなんでしょう?親友だったら、話していて当然な気もするけど。
ビ:そうだよね。それに、付き合っていることを打ち明けて、離れていくぐらいなら、友達とはいえないでしょ。ただ、言い方は気をつけたほうがいいと思います。付き合っていることに関しては「ごめん」とは言わないほうがいいでしょう。隠していたことについて「ごめんね」と言ったほうがいいと思います。
ラ:彼氏に相談できないっていうのは、なぜなんでしょうね。彼氏から、さらっと「僕には彼女がいる」って伝えてもらったらいいと思うけど。
ビ:彼氏に相談できないのは、彼の心が揺れるからじゃないですか?僕だったら、そうなるかもしれませんよ(笑)。彼氏がいたらいたで、失う不安もあるのかもしれませんね。「田あれば田に憂い、宅(いえ)あれば宅に憂う[i]」ということですね。贅沢な悩みかもしれません。
ア:仏教では、もともと愛は執着心で、憂いや苦しみを生み出す原因だからね。
女:言ったことによって、三人の関係がどんなふうに変化するのかはわからないけど、相談者が友人のことを大切に思っていることは伝わるから、まずは自分の気持ちをしっかりと見つめてみて、相談された時になんですぐに言えなかったのかとかを含めて、思いを正直に伝えるしかないかな。
ア:どうしても勇気が出ないなら、他の友達に相談してみて、「言えなくて苦しい」という自分の心境を間接的に伝えてもらうというのはどうかな?
ビ:どんな伝え方にせよ、本人としても言わなきゃいけないのはわかっているでしょう。相談者は背中を押してほしいだけかもしれませんね。
《中締め》
人間関係や恋愛の問題は、自分で思うままにコントロールしようとすると、憂いや苦しみを生み出す原因となる。隠したり、取り繕ったり、ごまかすことなく、正直にありのままを伝えるほうがよい。相談者も一所懸命に考えているので、その事実を親友はきっとわかってくれるはず。
[i] 『仏説無量寿経』に出てくる言葉。私たちは、ないものを欲する心があるだけでなく、手に入れたものに執着して、それを失うことを心配するなど、なかなか現状に満足することがないことを教えている。