共通点が少ない人との付き合い方とは?【みんなの人生僧談】
「僧侶の部屋」では、様々な経歴を持つ僧侶たちが、世の中のよくある悩みを勝手にテーマにして座談会形式で自由に話し合います。
今回のテーマは「人付き合い」。まったく共通点のない人というのはいるもので、そんな人と二人で時間を過ごさねばならないのは、なかなかに気まずいものがあります。もしそんな状況になってしまったら、あなたはどうしますか?積極的に話しかける?スマホをいじる?それとも?こんな状況を、僧侶ならいったいどう打破するのでしょう。
今日のテーマ:共通点が少ない人との付き合い方
仕事で同じ部署になった人と共通点がほとんどありません。話しかけてもほとんど会話にならず、変な時間だけが過ぎてしまいます。
・田舎好き僧侶
大自然とスローライフをこよなく愛する僧侶。将来は畑をいじって暮らしたいと夢見る。
・家電僧侶
学生時代から6年間、家電量販店でアルバイトをしていた僧侶。家電業界と接客について理解がある。
・サイバー僧侶
お寺生まれIT育ち。趣味が高じてIT業界に進むも、自らの使命に気づき僧侶の道に。最新機器への物欲が目下の悩み。
田:まず、最初の「共通点がない」と感じるのは、本当に難しいね。
サ:そうだね。本当は同じ人間同士、何かしら共通点はあるはずなんだけど、それだけでは分かり合えない、ってこの人は感じているんだよね。
家:でもまあ、現実的にはそうですよね。
田:うーん。でも、同じ会社の仲間同士、仕事のことで共通点はあるんだ。話せなくはないと思うんだけれど…。
サ:仕事の話では長続きしないのかな。10分で終わっちゃうとか。そうしたら確かに気まずいかも。そうしたら、どうする?
家:その人に対していろいろ聞いてみる、というのは良いかもしれませんね。興味を持って質問されるなら悪い気はしないでしょうし。僕もお参りの時にご門徒の方との話題に困ることが多いのですが、そういう時はいろいろなことを質問して、話していただくようにしています。
サ:でも、聞くならきちんと聞かないと失礼だよね。興味もないのに中途半端に質問して、適当に流すのはやっちゃいけないことだし。逆に相手が傷ついてしまう。
家:それはそうですね。傷つくというか、人によっては不快に思うかもしれません。
田:話を戻すけど、僕だったら徹底的に相手に興味を持つようにする。相手をよく観察して、服でも音楽でも興味がありそうなことを質問する。そしたら今度は自分でもそれについて調べて、そのことを話題にするかな。
家:問題は、そこまでするかどうかですよね。
田:その人と付き合うことが大切なら、そうするしかないと思うよ。必要なのは自分と向き合うことなんじゃないかな。その人とそこまでして話す必要はあるのかって。たぶんそれは仕事との向き合い方にも関係してくる問題だと思う。仕事が大切ならばその人と向き合うことは後々まで影響してくることだろうから、そこまでしていく必要がある。
サ:仕事以外のものの方が大切なら?
田:うーん、それでも挨拶して、要請されたら協力して、最低限の距離感は保つよ。そうしておいたら仲良くなれなくても、悪意は持たれないと思うし。
サ:僕はこの人が、気まずさを感じながらも関係を保とうとしていることがすごいなと思う。お互い自分のことで精いっぱいだし、分かり合えないかもしれないけれど、それでも相手を理解しようとすることには意味があると思う。無理にすべてを理解しようとする必要はないけれど、一番いい距離感を探すために努力を続けることは素晴らしいよ。
家:相手が嫌がっているとしたら、どうします?
サ:それでも、分かり合おうとすることを放棄せずに、分かり合えていないという現状を見つめてみよう。相手との関係を断絶するんじゃなくて、関係を続けられる距離を探すかな、僕なら。
家:なるほど。こちらから関係を断ってしまったら、それこそいつまでたっても気まずい時間が続くだけですもんね。
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僧侶たちの議論はまだまだ続きますが、ひとまずここまで。
以上、僧侶の部屋での座談会でした。何かのヒントになれば幸いです。
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他力本願ネット
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掲載日: 2020.07.29