傷つけないデスカフェのつくりかた│「Café Mortel」インタビュー<後編>
身近な人を亡くした悲しみを安心して吐き出せるデスカフェ「Café Mortel(カフェモルテル)」。
インタビュー前編では代表の小口千英さんに、デスカフェ立ち上げに至った熱い想いや、参加することによる驚きの変化について語っていただきました。
今回はデスカフェ運営の落とし穴やオンラインの活かし方、メンタルケアの未来に至るまで、貴重な現場経験と展望を聞かせていただきます。
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死の話はタブー?家族には決して言えないこと│デスカフェ「Café Mortel」インタビュー<前編>
Café Mortel デスカフェ~哀しみの分かち合い~の様子
――デスカフェの運営上、気を付けていることはありますか?
小口千英さん(以下:小口):悩み事としては、たまに1人でしゃべりすぎる方がいて、他の参加者が不愉快だという意見もあります。せっかく話しに来てくださっているので、遮るのは難しいのですが、キリがよいところまでお聞きしていると、ご本人が喋り過ぎに気づいてやめられることが多いです。主催者としては喋りすぎてほしくないですが、思う存分吐き出して欲しいという思いもあります。できれば何度かリピートしていただいて、吐き出していただくのが理想ですね。
また、参加者のなかにはご家族を自死で亡くされた方がいらっしゃいますが、自死遺族会にも参加されていると聞きます。しかし、死因が共通しているからこそさまざまな境遇や立場の違いで、こちらのほうがまだマシ、などと悲しみに優劣が生まれてしまう雰囲気があるそうです。もちろん悲しみに優劣をつけないという約束事がきちんとあるのですが、そういう意図がなくても傷ついてしまう方もいるのだと思います。ですから、Café Mortelとしては、悲しみの強い・弱いを比較しない話し合いを目指しています。亡くなりかたは病気や交通事故や突然死などさまざまですが、優劣をつけないような場の運営に気をつけています。
――今まで、参加者の不満やトラブルはありましたか?
小口:直接の不満はお聞きしたことはありませんが、この会は体験談だけかと物足りなさを感じられる方はいらっしゃいます。また他のデスカフェでは、グリーフを抱えた方が心ない言葉に傷ついたという声も聞いたことがあります。
ですので、会の始めに目的の明示が大事だと思うようになりました。グリーフの場なのか、死について語りたい探究心を持った方が集う場なのか、ちゃんと対象者を分けて、自分に合ったデスカフェを選んでいただくことが大事だと思います。
日本のデスカフェは多様性があるので、自分に合ったところに巡り会えたらよいと思いますし、参加して違和感があった場合はぜひ主催者にも感想をフィードバックしていただきたいと思います。
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