人に向き合うための「トライ&エラー」|雪山俊隆さんインタビュー<後編>
(写真提供:雪山さん)
自分のペースで、人に向き合う
――雪山さんは、ご自身がこうなりたい、というような目標はお持ちなんでしょうか?
雪山:やっぱりご門徒さんにしっかり向き合えてなかった、というのがここ5年ほどの反省点としてあります。人に向き合うというのはとても大変なことですが、ゆくゆくは会う人すべてに心から向き合えるような人間になりたいな、と。
ただ、それを無理にやると危ない、ということも過去の経験から分かっています。僕は僕のペースで、人に向かい合える気持ちを育んでいけたら良いな、という感じでしょうか。
――どこか向き合えていないご自分を感じますか?
雪山:やはりどこかルーティンワークになっていますよね。普通に会話はしていますけれど、その先まで見据えられていないのかも知れません。この人にどうなって欲しいのかとか、何を伝えたいのか、自分はこの人とどうつながりたいのか、とか。そういった深いレベルの思いでは会えていませんね。
――なるほど。会ってはいるけれど、という感じなのでしょうか?
雪山:お寺の法座に来てもらう事を目的に出会う、というのもなにか違う気もしていて。そういう目的が先にあると、どこか営業的になる。突き詰めればこの人に何を伝えたいか。どうなって欲しいか。そういったことまで落とし込めればなにか見えてくるのかな、とは思うんですけれど。
(写真提供:雪山さん)
もがきながら、トライ&エラーを
――最後に今後の展望などについて、お聞かせください。
雪山:やり続ける中で見えてくるものというのは確かにあって。どれも何回かやってみるうちに、こうしたら良いな、という改善点のようなものが少しずつ見えてくる事が多いです。
たとえば、今の「ほっこり法座」でも、試行錯誤をする中で「若い人と年配の人を混ぜてするのは難しいな」ということが見えてきました。なので「ほっこり法座」の夜バージョンを来年出来たら良いな、と考えています。
――続けること、積み重ねることで見えてくるものがあるんですね。
雪山:もがきながら、トライ&エラーを何回繰り返せるか。そこしかないな、と感じています。若い人には、とにかく挑戦してみて欲しいです。話をしていると、どうしても慎重派が多くて。とても頭が良いんですよね。でも、計画段階のうちから、「これでは継続できません」というのではなくて、まずやってみて、それから次のことを考えて欲しいな、と思っています。
編集後記
「なかなか結果が出ないことを、地道に続けることも楽しい」とお話しされる雪山さん。
挫折と、そこからの再生の背景には「人と向き合うことの難しさ」「人と向き合うことの大切さ」のふたつのテーマが見え隠れします。それこそ、トライ&エラーをくりかえしながら、ひとつずつ積み上げることが大切なのかも知れません。
プロフィール
富山県黒部市宇奈月町 白雪山善巧寺住職
1973年生まれ。2006年より音楽イベント「お寺座LIVE」をスタート。また、同年にニフティ(株)の主催する『PODCASTING AWARD 2006』で審査員特別賞を受賞。同時期に全国の僧侶仲間と仏教コミュニティ「メリシャカ」を結成する。現在は月二回の定例法座である「ほっこり法座」をはじめとした寺院活動に力を注ぐ。