仏教を学ぶとは。仏教を伝えるとは。|古川佐奈江さんインタビュー<前編>

古川佐奈江さん(写真左)(画像提供:古川さん)

 
主に法事や法座などで行われる「法話」。このたび、そんな法話のエキスパートである「本願寺派布教使」の古川佐奈江(ふるかわ・さなえ)さんにお話を伺いました。古川さんの生い立ちを通して、法話にまつわるあれこれをお伺いしてまいります。
 

結婚を機に入寺して

 
――本日はよろしくお願いします。はじめに、簡単に自己紹介をお願いします。
 
古川 佐奈江さん(以下:古川):古川 佐奈江と申します。佐賀県鳥栖市出身で、現在は熊本県の天草にあるお寺の坊守であり、布教使として伝道活動を行っております。また、保護司や保育士としても活動しています。
 
幼少期から浄土真宗とのご縁があり、家族で『正信念仏偈』や『仏説阿弥陀経』をおつとめしていました。テンポの早い仏説阿弥陀経は、不慣れな頃は経文を見失うこともしばしばありましたが、だんだん上手くなっていくんですよね……と、そんな感じでいつも自己紹介をしていると、よくお寺の生まれだと誤解されます(笑)。
 
――えっ、お寺のお生まれではないんですか?
 
古川:そうなんです。よく実家がお寺だと間違えられるのですが、実家は一般家庭でした。でも、祖父母が熱心な念仏者で、一緒にお寺にお参りに行くことも多かったんです。当時、ご縁のあったお寺が素敵だったんですよ。
境内の池の中では鯉が泳いでいて、秋は銀杏がきれいで……境内地で遊んだあとは梵鐘をついてから帰るのが楽しみでした。そんな生活を繰り返していたので、結婚して入寺することに対する抵抗感はあまりなかったですね。
 

仏教の難しさと面白さ

 

(画像提供:古川さん)

 
――幼い頃から浄土真宗とのご縁があったのですね。そんな古川さんがお寺に入寺されて、驚かれたことはありましたか?
 
古川:布教使の方々が法話をされるのを初めて聞いた時にはびっくりしましたね。幼少期からお寺とのご縁が深かったとはいえ、入寺するまでは法話というものを聴いたことがありませんでした。
 
初めてお聴聞をしたとき、最初のご讃題の拝読が終わったら、まるで人が変わったように普段の口調へと戻る様子に衝撃を覚えました。同時に、「なんだろう、なぜだろう」という驚きと疑問が仏教に興味を持つ入り口にもなりましたね。
 
私にとって法話には疑問がたくさんありました。始めにあげられたご讃題とその後のお話がどう関係しているのか、なぜ「南無阿弥陀仏」で救われる、と言われるのか、どんな根拠があるんだろうか……挙げればキリがありませんでした。
疑問のままにしておくのは自分自身がもやもやしますし、お寺にいるのにご門徒の方々に聞かれたとき、お答えできないのは申し訳ないと思い、中央仏教学院の通信講座で学びはじめました。
その後、せっかく学ばせていただいたので、平成18年にお得度を受け、僧籍を取得しました。
 
――仏教を学ぶ中で、難しいと感じたことを教えて下さい。
 
古川:難しいのは仏教用語ですよね。私の場合、最初につまずいたのは漢字でした。書くよりも読むことに苦戦しました。例えば「花瓶」は一般的には「かびん」と読むと思いますが、浄土真宗では「かひん」と読みますよね。これまでで得た知識による思い込みで読んではいけません。浄土真宗では読み方に注意が必要な言葉がたくさんあるのに、書籍でもふりがなが付いていない場合も多く、読み方がわからないときはその都度住職である夫に聞いていました。
 
―― 一方で、面白いと思った部分はありましたか?
 
古川:これまでに持っていた価値観がひっくり返るところでしょうか。私は子どもの頃、両親から他人に迷惑を掛けてはいけないと育てられました。でも、お聴聞を重ねているうちに、誰かに迷惑をかけながらでしか生きられない、と気づかせてもらいました。
他人に迷惑をかけてはいけないという価値観から、おかげさまで、という気持ちを大事にすること、誰かから迷惑をかけられたとしても許せる自分になりたいと思うように転換していきましたね。
 
また、勉強は賢くなるためにするものですが、仏教は学べば学ぶほど至らない自分、愚かな自分の姿が見えてきます。だからといって、愚かな自分の姿を知らされて卑屈になるのではなく、そんな私を見放さない仏さまがありがたいとますます思えるようになりましたね。
 

み教えに触れて転換させられた価値観

   

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掲載日: 2022.05.24