地域の平和を守り、子どもたちの慈悲心を育む「ネイチャーレッド」の活動とは|三浦誠さんインタビュー<後編>
(画像提供:三浦さん)
島根県正福寺の住職 三浦誠さんへのインタビュー。東京のサラリーマン家庭に生まれ、島根のお寺に入寺したという経歴をお持ちの三浦さんは「ネイチャーレッド」と呼ばれるヒーローのご活動を実践されているそうです。後編となる今回は、そんな「ネイチャーレッド」のご活動についてお伺いしました。
「人の死が他人事でした」東京生まれ、在家出身の三浦さんが島根のお寺の住職になるまで。|三浦誠さんインタビュー<前編>
お坊さんがヒーローに変身!?ネイチャーレッドの活動。
(画像提供:三浦さん)
――ネイチャーレッドとは、どういったご活動でしょうか?
三浦誠さん(以下:三浦):ネイチャーレッドは「自然の正義と平和を守り、子どもたちの感動をする心を育てる慈悲系ヒーロー」です。主に子どもたちに関わる、様々な活動を展開しています。
行政やプロダクションに所属していない個人活動なので、フットワークの軽さが強みです。「会いに行けて、会いに来てくれる」ヒーローとして、保育園や子供会、児童クラブなどはもちろんのこと、ステージでヒーローショーでのコンサートや、子どもの来るイベントに出張しているほか、テレビやラジオなどのメディア活動も展開しています。また、先日は教育機関の入学式の来賓にも呼んでいただけました。
――ご活動のきっかけはどういったものでしょうか?
三浦:もともと社会貢献をしたいと思っていたんです。自分自身がこうやって大きくなれたのは子どもの頃、親を始め周囲の大人が色々良くしてくれたからという思いが強いんですよね。また、子どもが好きで、人のつながりがあつい田舎で誰かの役に立ちたいとも思っていました。
(画像提供:三浦さん)
――様々な社会貢献の手法が有る中で、どうしてヒーローという形を選ばれたのでしょうか?
三浦:非常にシンプルな理由で、ヒーローが好きな子どもたちが多いと思ったからなんです。
実際、その目論見はあたっていて、ヒーローとして登場するだけで子どもたちは喜んでくれます。娯楽もそんなに多くない地域なので、子どもたちにとっては新鮮に映っているのかもしれません。
――スーツはオリジナルで製作されたのでしょうか?
三浦:マントやインナースーツは市販で販売されているものを使用していますが、マスクやプロテクターは坊守がデザインした特注品です。実は、坊守はグラフィックデザイナーをやっていて、イメージを伝えてデッサンして、形に仕上げていきました。制作費用は約12万円。一着しかありませんので、大事に着用しています。
――普段はどういったご活動をされているのでしょうか?
三浦:「ネイチャー」ということで、活動当初は野外で保育園の子どもたちに自然のことを教えたり、一緒に山歩きをしたりしていました。最近はそうした活動から変化して、子どもたちと触れ合うことが中心ですね。
ただ、新型コロナウイルス感染症が流行してからは保育園への出張も難しくなりました。子どもたちに会いに行くのが難しくなったので、お寺でイベントを開いて、そこに来てもらう形にしました。そこから本格的に、お寺や仏教とヒーローの活動が結びついたと思います。
現在はヒーローショーと一体的に、子どもたちが分かるような形で仏法を伝える試みしていますね。
ヒーローショーと仏教を伝える試みはSNSで知り合った僧侶の方たちにも注目され、県外寺院の子ども会等に出張することもあります。最近はヒーロー法話もやっていてその際は顔面だけマスクをかぶり、衣を着てお話ししています。
先日、岐阜県のお寺へ出張した際は、お寺に来たときの挨拶の仕方、つまり合掌と礼拝のお作法を伝えました。じゃんけん大会といったレクリエーションも交えつつ、子どもたちには少し難しいかもしれない「仏法」を、ヒーローが工夫して伝えるところがポイントですね。
(画像提供:三浦さん)
――ご活動において、大変なことを教えてください。
三浦:大変なのは暑さと寒さです。スーツの通気性はほぼ無いため、夏は灼熱、冬は極寒です。なので、できれば春か秋に変身したいですね(笑)。また、マスクは黒いメッシュになっているので、暗い所では非常に視界が悪いです。