「人が集まる、あったかいところ」を目指して|大塚茜さんインタビュー<前編>

京都市下京区。京都市水族館からすこし北にいったところに、「キッチンNagomi」がある。ここは、東日本大震災で被災し、避難してきた人たちが働く場所(就労支援)として経営されているレストランだ。この「キッチンNagomi」の2階には「福興支援サロン和〜Nagomi〜」があり、ここでもさまざまな被災地支援の活動が行われている。
今回は、その「キッチンNagomi」・「福興支援サロン和〜Nagomi〜」を運営する「NPO法人 和(なごみ)」の理事長、大塚茜さん(浄土真宗本願寺派僧侶)にお話を伺った。
「NPO法人 和(なごみ)」は、この他宮城県石巻市渡波地区の子育て拠点(認可外保育施設)「ちるぴよ」運営など、さまざまな復興支援活動を展開されている。
 

大塚茜さん

 
ーーまず、和はどのような活動をされているのでしょうか。
 

 「NPO法人 和」(以下、「和」)は、「NPO法人ハイビスカス」の復興支援部門が独立したNPO法人です。「福興サロン和」を中心に、京都府下への被災地からの移住者の孤立を防ぐためのさまざまな活動を行って、平成24年の9月には、避難者・移住者の就労支援の活動として、「キッチンNagomi」をオープンしました。

 

ーー「和」の支援活動は、もともとは、「ハイビスカス」というNPO法人の活動からはじまったんですね。
 

「ハイビスカス」は、NPO法人として配食事業や、保育所の事業などをしていました。阪神淡路大震災のとき、配食事業は、仮設住宅のおじいちゃん、おばあちゃんたちの安否確認ができ、孤独死の防止にとても効果がありました。ですので、東日本大震災でも、東北で配食事業を立ちあげるところがきっと出てくる。そして、一日でも早くノウハウを伝え、そのシステムが役に立てば、一日でも早くそういった事業を立ち上げることができると思いました。

でも、東北を支援するにしても、どこに行ったらいいかわからないし、現地に友達がいたわけではなかったので、情報収集する担当になって、そこから始めました。実は3月11日に職場にいたんですけれど、地震とは無関係に骨折してしまって、三ヶ月動けなかったんです。それで、情報収集担当になったんです。今考えたら、それが功を奏しています。しっかりと地元の声を拾いながら、どこにつなげれば、効果的かということがよくわかってきましたから。

 

ーーそこから、福興サロンが始まってくる。
 

情報を集めていく中で、京都に原発事故等のためにたくさんの人が避難してこられていると分かりました。それで、避難者が集まっている会議に参加したら、まず、集える場所が欲しいという声があったんです。

 

みんなばらばらに住んでいて、同じ境遇の人が、どこに居るのかもわからないし、どこにいったら会えるのか、どこで情報が手に入るのかわからないし、とにかく集える場所が欲しいということでした。それで、東北出身で、京都で暮らしている、県人会のような人たちに協力してもらって、居場所作りをしようということになりました。そうやって、集まれる場所を作って、はじめてみると、「待ってました!」というような感じで、毎日人が集まってくるんです。

 

あふれるほど、という程ではないんですが、話し合う内容が、深くて重たいので、みんな怒っているし、泣いている。集えば、「あの日どうしていたか」とか、「2~3日間全国逃げて回って、やっと京都にたどり着いたんだ」とか、みんなが物語をいっぱい抱えていて、語りながらみんなで泣いて…。「子どもと一緒に集える場所だから」と、来た人たちが、みんな子どもさんはほったらかして、しゃべっていました。今まで我慢していたけど、ここに来て初めて言えたという人もいました。そういう想いを持ち寄って話をした場所が、「福興サロン和」の始まりなんです。

 

大塚茜さん

 
ーー集まって、苦しみを語り合うことのできる場所というのが、求められていたんですね。
 

このサロンも、私はいるだけなんですけど、みんなが集まって、避難の先輩が、避難の新人さんに、「私もしんどかったけど、ここにきて、友達ができたから、あなたも大丈夫だよ」って、ピアカウンセリングをしている。わたしは、見ているだけで、よっぽど困ったときには出て行くけれど、ほとんどは、集まってわいわいとしているのをただ聞いている。

 

ーーみんなが集える場所として「キッチンNagomi」、「福興サロン和」の活動がある。
 

震災が起きたときに、お坊さんとしてなにをするべきなんだろうとか、夫とはよく話したんです。仏教の教えからすれば、人生は思い通りにはならないので、震災があるということも含めて、「これは思い通りにならないでしょ。だから阿弥陀様なんですよ、仏教ですよ」とは、少なくとも目の前の人にはわたしは、言えませんでした。

 

お坊さんとして突き抜けた人は、東北でそれが言えたのかもしれないけれど、少なくとも、私には無理でした。それよりも、私は一緒に泣いている人でありたかったんです。

 

知り合いの言葉なんですが、「人は正しいところに集まるんじゃない、あったかいところに集まるんだ」と。名言だと思います。話を聞いてくれる人がいるからとか、そういう温かいところであって欲しいなと思います。この「和」という場所は。

 

 

NPO法人 和 ホームページ
http://www.fucco-nagomi.com/
   

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掲載日: 2014.06.10