無益を語らず、心の静まる言葉を【釈尊のことば】
無益を語らず、心の静まる言葉を【釈尊のことば】
(写真:ぱくたそ)
(本願寺新報 2016年(平成28年)3月1日(火)号より)
無益な語句を千たび語るよりも、聞いて心の静まる有益な語句をひとつ聞くほうが、はるかに優れている。 (ダンマパダ 100偈)
この偈を呼んで、ドキッと感じませんか?私たちは、日常生活のなかで、あるいは仕事上で、互いにさまざまな言葉のやり取りをしています。そういうなかで、ほんとうに心に響く言葉が、どれほど聞こえてくるでしょう?あるいは、今日一日、心を込めた言葉をどれほど語れたでしょうか?
仏教には、五戒という、在家信者が守るべき五つのことがらがあります。そのなかに、不妄語戒(ふもうごかい)というものがあります。これは、単に嘘をついてはいけないというだけではなく、無意味で無益なことを語るなかれという意味も含まれているのでしょう。また身口意の三業という考えがあります。業というのは身体的な行為だけではなく、言葉を使って語ることもまた業、つまり心とも関連する習慣性になるのです。有益な言葉を聞き、そして心を込めた言葉を使うことにより、心も透明度を増してくるということです。仏教がどれほど言葉を大切にしているのかが知らされます。
さて、釈尊のことを釈迦牟尼(むに)とも言います。釈迦族の牟尼、牟尼とはもともと沈黙を守る聖人のことをいうのです。おそらく釈尊は6年間の修行中、ほぼ沈黙で修行を続けられたことでしょう。しかし悟りを完成された後、釈尊は45年間にわたり、じつに多くの人びとのために教えを説き続けられました。沈黙を守られたというほんとうの意味は、無益なことは語らず、人びとの心が静まるような言葉を紡ぎ続けられたということでしょう。仏教のお経というのは、そういう釈尊の言葉を伝えるものなのです。
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