生きとし生けるものは幸せであれ【釈尊のことば】
生きとし生けるものは幸せであれ
(写真:AC)
(『本願寺新報』 2015年(平成27年)8月1日(土)号より)
この「生きとし生けるものは幸せであれ」という句は、スリランカやミャンマー、タイなどでは、これに前後する10の偈(げ)と共に「慈しみの経」として有名で、日々となえられているそうです。
仏教は「縁起」とか「空(くう)」などをはじめ、教理的にはとても難しいと思われていますが、仏教の教えの根本は、実はとても単純で、釈尊のこの生きとし生けるものへの慈しみの想いに尽きると私は思います。
それにしても、「すごい!」と思いませんか?今からおよそ2500年前の釈尊のメッセージが、現代に生きる私たちの心にまで響いてくるのですから。直接に会うことのできる人々だけでなく、会うことができない遠くの人々、あるいはこれから生まれてくる人々の幸せをも願ってくださっているのです。そう、人間だけではなく、いのちあるすべての存在に向けて贈られたメッセージなのです。幸せって人それぞれの思いはあるでしょうが、古い註釈書では「安らかで、危害による怖(おそ)れがないこと」と説明されます。人々の心の平安と、そして争いのない世界平和のことだと理解しましょう。
さて、私たちになじみ深い「極楽浄土」の原語は「幸せあるところ」という意味なのですが、この句の「幸せ」と同じ原語なのです。釈尊の「生きとし生けるものは幸せであれ」という願いを、法蔵菩薩はまさに実現し、阿弥陀如来となられ、お浄土から私たちを護っていてくださるのです。
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