仏教徒は武器なき平和な社会を【釈尊のことば】
仏教徒は武器なき平和な社会を【釈尊のことば】
(本願寺新報 2015年(平成27年)8月20日(木)号より)
この句に続けて「人びとが慄(ふる)えているのを見て、また人びとが相互に抗争しているのを見て、私に恐怖が生じた」とあります。また「武器」と訳した語 は「暴力」をも意味します。
釈尊は、自分を慕ってきた出家者には修行をつみ、生老病死の苦悩を超える解脱や涅槃を目指すように、その道筋を示しました。釈尊の在世当時、インドには釈尊と同じように、何人もの著名な修行者たちが出現し、さまざまな教えで弟子たちを導いてい
ました。そういう中で、釈尊だけが在家の人びとにも寄り添って、苦しみや悲しみを克服する道を説かれました。だからこそ、「生きとし生けるものは幸福であれ」という願いが現れているのです。
そういう生きとし生けるものに対する慈悲の想いを持たれた釈尊の目には、当時の世間での暴力や武器を用いた戦争の絶えないあり方は、さぞ悲しかったに違いありません。この句にある「恐怖」は、釈尊 の悲しみの表現であり、また多くの人々が暴力や戦 争を恐れる気持ちを表現したものでもありましょう。
釈尊が今おられたら、どうお話くださるでしょう? あいかわらず人間は武器をもって争い合っているのか、と嘆かれ悲しまれるのではないでしょうか。私たち人間は、どこまで愚かなのでしょう。地球上に あるすべての武器を使えば、人類を滅亡させる威力 さえあるのです。悲しくなりますね。でも、嘆いたって仕方ありません。仏教徒は、道は険しくとも、武器なき平和な社会を目指していきたいものです。
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