「いまこそ「お寺でお葬式」。おみおくりに最適な理由とは。(前編)」小林弘和さん(「お寺でおみおくり」一般社団法人日本寺葬(てらそう)協会 代表理事)インタビュー<前編>

 

小林弘和さん(写真提供:「お寺でおみおくり」)

 
新型コロナウイルス感染症の影響で葬儀がよりいっそう小規模化する中で、「お寺でお葬式」という選択肢がひそかに着目されつつあります。会館やホールでの葬儀が定番化していますが、実際にお寺での葬儀(以下、寺院葬)を経験してみると、厳かな空間でゆったりと過ごせること、過剰な費用がかからないことなど、その恩恵は少なくないようです。この度、寺院葬のパイオニアであり、長野県を中心に各地で「お寺でおみおくり」を展開する小林弘和さんに、寺院葬の魅力についてお聞きしました。
 

危機感の中で確信した寺院葬の将来性

 
――「お寺でおみおくり」を始めたきっかけを教えていただけますか。
 
小林弘和さん(以下:小林):私はもともと、お墓やお仏壇、樹木葬の開発の仕事をしていました。2015年頃から、お墓の後継者がいないという方が増えてきて、お墓や仏事産業そのものの将来性に危機感を抱いていました。そんな中、もともとお付き合いのあったお寺さんとお話しするうちに、お寺で葬儀を行う「お寺でおみおくり」という発想が生まれました。当時は会館やホールで行われる葬儀の料金が高額でした(会葬者50名で150万円程度)。
 
会館やホールは30年サイクルで建て替えも必要になりますし、致し方ないことでしょう。そこで、費用を抑えながら、お寺に備わる本物の荘厳の中でゆっくりとおみおくりができる葬儀があってもよいのではないかと考えました。お寺での葬儀を普及させていく可能性を感じ、2017年に一般社団法人日本寺葬(てらそう)協会を起ち上げました。
 
――寺院葬のメリットを教えていただけますか。
 
小林:メリットは三つあると思います。一つ目は荘厳な雰囲気の中で、宗教者主導でおみおくりできることです。会館やホールでの葬儀では、祭壇と遺影に手を合わせるのがメインになります。それが、お寺ではご本尊の前で、荘厳な雰囲気に包まれます。ご本尊に手を合わせることで深い宗教体験が味わえますし、信仰も深まると思います。私どもは年間200件弱の施行をお寺でさせていただいておりますが、喪主さんが言われるのは、きちんとお別れできたということです。
 
会館やホールで葬儀を行うと、せわしなく時間に追われなければならないが、寺院葬は落ち着いてきちんとおくることができる、と言われます。これはご住職のサポートも大きく影響しています。ご住職がご遺族と向き合い、どんなことでも相談できる信頼関係を築いておられる場合があります。亡くなったという第一報から関わり続けることで、ご遺族が段階的に満たされていきます。その上で葬儀をむかえ、荘厳な雰囲気の中、宗教者の読経によって、言葉では言い表せないような、宗教体験が得られます。
 
ある喪主さんが、光に包まれて主人が旅立つ姿が見えた、ということをおっしゃったことがありました。故人と別れるということは、故人と違った形で出会うということでもあるのだなと、そのときに感じました。
 
二つ目のメリットは、地域の方にとって親しみのある場所であるお寺で行えることです。お寺は地域コミュニティの中心であり、日常の風景の中で身近にあるものです。近くにあるので便利だという面もあるでしょう。
 
三つ目は経済的なメリットです。お寺であれば会館使用料、光熱費、祭壇費が不要もしくは格安ですので、負担が軽くなります。葬儀に備えて互助会で積み立てをされている方もいらっしゃいますが、いまは人生100年時代です。これほどまでに長生きすることを想定して設計されたものではないでしょう。葬儀において費用の節約はやはり大きな要素です。寺院葬は会館やホールのような設備投資がないため、その分リーズナブルに行うことができるのです。
 

寺院葬の事前相談の様子(写真提供:「お寺でおみおくり」)

 

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掲載日: 2022.05.16