自分一人では死ねない。縁のつくりなおしこそが終活|赤堀正卓さん(『終活読本ソナエ』元編集長)インタビュー<前編>

 
日本唯一の終活専門の定期刊行誌『終活読本ソナエ』。創刊以来9年間、終活業界をリードされてきました。このたび元編集長の赤堀正卓(あかほり・まさたか)さんをお迎えし、終活の意義・課題、そして未来への展望をお聞きしました。(雑誌は2022年春号をもって休刊)
 

赤堀正卓さん(編集部の自席にて)(写真提供:産経新聞社)

 

地下鉄サリン事件で生まれた宗教への問い

 
ーー『ソナエ』を創刊された経緯を教えてください。
 
赤堀 正卓さん(以下:赤堀):今年は、私が産経新聞に入社して30年目であり、『ソナエ』を創刊して9年目にあたります。どこの新聞社も長期的な部数減に悩んでいるのですが、産経新聞ではテコ入れ企画の一つとして1994年~1998年頃、東京の夕刊で週4回ほど宗教のページを設けたことがありました。
その頃、社会部に所属していた私が宗教面の担当をすることになりました。宗教は、ドロドロした面もありながら、人々の最後のセーフティネットになっている点がとても興味深く、自分から志願しました。そんな折、1995年に地下鉄サリン事件が起きました。その後、宗教面担当を離れてからも司法担当を長くしたこともあり、東京地裁での麻原彰晃の裁判にも何度も立ち会いました。
 
死とは?自分とは?カリスマとは?教団とは?……さまざまな問いや気づきが生まれました。宗教者や葬儀社など、仏事業界の方々を数多く取材し、人脈もできていきました。
2012年になって、社内で新聞の売れ行き落ち込みを補完する新規事業を立ち上げることになり、その一つとして、終活雑誌の企画を提案したところ採用。社内ベンチャーとして『終活読本ソナエ』が生まれました。これまで取材してきた宗教界や仏事業界の、多くの方の応援も後押しになりました。東日本大震災が起きた直後でしたので「絆」や「供養」が注目されていました。同時に「終活ブーム」の兆しがありました。雑誌のコンセプトには、人々の終活ニーズに応えつつ、供養文化と絆の大切さを打ち出していくことを定めました。
 
ーー『ソナエ』の特徴や狙いを教えてください。
 
赤堀:単身世帯が増えていることや、「人の世話になりたくない」という価値観が広がったことで、家族、親戚、近所、友人といった周りを頼れない方や独りで老後について考えなければいけない人が多くいる世の中になりました。とりわけ、人間関係が希薄化し、ひとり暮らしの人も多い都市部に、そういった方が多くいます。
 
『ソナエ』の読者は、そういった都市部の人たちが多くいます。逆に、都市部(拠点都市)であっても当誌が売れないのは金沢と広島、高松です。真宗など宗教の存在感があり、地域のつながりが強いところは終活への関心が薄いようです。終活に特化して定期的に刊行し続けているのは当誌が唯一です。また、供養と絆を中心テーマとしているのが当誌の特徴です。
 

『終活読本ソナエ』は年4回、計36号が発行された(写真提供:産経新聞社)

 

簡素化一辺倒からの揺り戻しを期待

   

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掲載日: 2022.07.04