お寺離れの時代に、全国1500カ寺と人々をつなぐ|平岡 学さん(株式会社ナーム代表取締役社長)インタビュー<前編>

 

信頼できるお寺を探し求めて、全国1800カ寺を訪問

 

勉強会の様子 提供:株式会社ナーム

 
ーー事業のコンセプトを教えてください。
 
平岡:弊社は全国の葬儀、法要に対応できる、優良な寺院を紹介する事業を展開しています。ご遺族から葬儀や法事の依頼があった際にお寺さんをご紹介しています。ご遺族は、弊社のウェブサイトをご覧になったり、口コミで評判を聞いて依頼をしてこられます。基本的にはなるべく近隣のお寺さんをご紹介します。
 
ただし、たとえばお子さまを亡くされた方、自死で亡くされた方に対しては、寄り添えるお寺さんをご紹介しています。収益モデルとしては、提携している葬儀社に、全国のお寺をご紹介して手数料をいただいています。ただし施主さんとご縁ができてからは、手数料をいただきません。そこまで介入すると仏縁がつながらないと考えるからです。
 
弊社の紹介事業の特徴は、僧侶の紹介ではなく、お寺の紹介ということです。きちんとした所属を持つお寺を責任持ってご紹介しています。実際にお寺でご住職とお話しをして、お人柄などをこの目で確かめてご紹介するのが筋だと思います。その信念で北海道から沖縄まで、約1800か寺を訪ねました。千歳空港でレンタカーを借りて、北海道を巡ったこともあります。おかげさまで現在、全国の約1500か寺にご登録いただいております。
 
弊社ではお寺のチェックシートを用意しています。まず、本堂や庭がきれいかどうか、住職のお人柄、きちんとご挨拶ができるかどうか、人の話を聞く姿勢があるかどうか。ということをチェックします。実際、お客様からのアンケートでも、ご住職が私の話を聞いてくれて嬉しかったというお声が多いです。法話、読経、字が上手かったという方は少ないです。他社も紹介業をされていますが、弊社の特徴はクオリティ重視で、提携寺院の基準がしっかりしていることです。
 
【参考】提携寺院の基準(株式会社ナーム ウェブサイトより引用)

1.包括又は被包括宗教法人であること
※文化庁又は都道府県が発行する宗教法人名簿に記載された法人
2.伽藍があること
3.単立宗教法人、伽藍がない僧侶資格だけを持つ者は扱わないこと
4.代表が住職又は、代表役員に訪問、面接をし、伽藍と住職の考え方、人柄を必ず確認すること
5.ナームの理念に賛同すること

 
ーー仏事、葬儀、供養などの無料相談窓口を運営されているとのことですが、どのような相談が多いですか?
 
平岡:とても多いのは、所属するお寺から離檀したいという相談です。要はお金の負担の問題です。なぜお布施を払わなければいけないのか、納得しておられなかったり、お寺との関係を続けることで子どもたちに負担や迷惑をかけたくないという方がいらっしゃいます。
 
また、最近は墓じまいの相談も増えています。従来型のお墓から、合祀に移られる方がほとんどで、その内訳は樹木葬50%、永代供養墓25%、海洋散骨25%と、散骨の割合が増えています。費用は5万円程度ですし、海の地域を指定できます。有名人の影響力もあり今後も増えていく可能性がありますが、弊社としてはきちんと手を合わせる場所を設けるようおすすめしています。
 
インタビューは後編へ続きます。
 

   

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掲載日: 2022.08.01

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