「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指して|株式会社ティア 代表取締役社長 冨安徳久さんインタビュー<前編>
名古屋市に、年間1万8千件を超える葬儀を請け負う会社があります。中部・関西・関東地区を中心に「葬儀会館ティア」を運営し、会館はもちろん、寺院や個人宅、公共の場所などでの葬儀・法要、ご遺族のアフターフォローなどを行う株式会社ティア。また、社会貢献活動の一環として同社の冨安徳久(とみやす・のりひさ)社長が講師を務める「命の授業」を初め、年150本を超える講演活動も実施されているそうです。
今回は、株式会社ティアを創業された代表取締役社長、冨安徳久さんに葬儀のあり方や死生観について、じっくりとお話をうかがいました。
冨安徳久さん(写真提供:株式会社ティア)
納得できなかった葬儀社のあり方
ーーはじめに、事業を始めたきっかけを教えていただけますか?
冨安徳久さん(以下:冨安):もともと18年間、葬儀会社に勤めていました。初めて勤めた葬儀会社でご遺族に徹底的に尽くすという姿勢を学びました。その後やむを得ない事情で違う葬儀社に転職しましたが、このご遺族に寄り添う姿勢にはこだわり続けていました。しかし突然、「生活保護の方や身元がわからない人の葬儀は請負わない」、という会社の方針が決まりました。私は到底納得できず、身寄りのない方こそ、自分が最後の遺族だと思って送り出すべきだと会社に進言しましたが、受け入れてもらえませんでした。このような状況を絶対に変えなければいけないと強く思ったのが創業のきっかけです。
また、創業当時の1990年代後半はインターネットなどでの葬儀に関する情報も少なく、葬儀の価格が不透明という側面もありました。ご遺族に徹底的に尽くす会社を作りたいと考え、葬儀業界の慣習を変えるために、「葬儀価格の完全開示」「適正な葬儀費用」を提唱し「ティア」を創業しました。現在でも、「事前相談」「生前見積り」等を通じて葬儀に関する情報を積極的に開示しています。1997年に創業したティアは1年目、64件の葬儀しか扱えませんでしたが、10年目で3,000件を超え、現在は直営、フランチャイズを合わせて年間1万8千件を超える葬儀を請け負っています。また、創業の地である名古屋市内のみならず、関西・関東にも「葬儀会館ティア」を展開しています。