地域へ、離島へ、都市へ!「縁起でもない話」から広がる可能性とは?

 
全国に広がる「縁起でもない話」
 
ーー大阪や北九州でも「縁起でもない話をしよう会」が行われているようですが、どういったご縁があったのでしょうか?
 
井上:北九州の永明寺さんには、エンド・オブ・ライフケア(説明)に関わっておられる看護師さんがいらっしゃって、また永明寺の松﨑住職ご自身も、ターミナルケアに関わっておられるので、接点がありました。見学に来られたこともありましたね。
 
大阪については、私の長男がビハーラ僧の研修を受けた時に、大阪の方がおられたのがきっかけです。その方が大阪でも医療との接点や語りの場をつくりたいという想いをお持ちだったので、そこからスタッフ同士の交流が生まれました。大阪でも、医療者や士業の方との関係ができつつあると聞いております。私も大阪の医療者をはじめとする方々とのつながりができて、有難く思っています。
 
ーーまた、鹿児島の離島でも「縁起でもない話をしよう会」をなされているとうかがいました。
 
井上:徳之島での「縁起でもない話をしよう会」ですね。あれは、こちらでの「縁起でもない話をしよう会」の立ち上げのきっかけになったドクターが、徳之島に3か月ほど赴任したときに、現地での開催要請を受けて開いたものです。
 
あなたも「縁起でもない話」をしないかい?
 

「縁起でもない話をしよう会」の様子

 
ーーまさに全国で広がりを見せているようですが、「縁起でもない話をしよう会」を始めるにあたっては、どういった手続きが必要なのでしょうか?
 
井上:始め方に関しては、賛同する人がいてくだされば始められると思っています。「縁起でもない話」なので、普段は避けがちな話題がテーマであれば、話題提供者が必ずしもドクターである必要もないと思います。
たまたま、僕はご縁があって医療や福祉関係の方と始めましたが、いろいろな形があって良いと思います。何よりも、この活動がもっと広まって欲しいです。
 
ーーいろいろな形とは、例えばどういったものが考えられますか?
 
井上:テーマは、例えば葬儀や障がいのことなど、「普段なかなか語り合えない話」だと思われるなら何でも構わないと思うんです。開催ペースも、私たちは2か月に一度でやっていましたが、もっとスローペースでも良いですし、時間帯もニーズに合わせて変えて頂いても良いと思います。
 
大事なのは、こうした場を作りたいという想いを共有してくださるスタッフがいてくださることではないかと思います。場所はまず寺という一番活用しやすい場所がありますので、そこを使ってみんなで語りたいところですが。少人数からでも構いませんので、始めてみたらいいのかなと思います。
 
ーーその寺院の周辺の状況によっても、やり方は変わるかもしれませんね。
 
井上:そうですね。私の所属寺周辺は、人口の流入が続いている地域で、どちらかというと住民同士の繋がりが希薄です。その意味で、人と人が繋がることに価値があるとも言えますね。
逆に、住民同士のつながりが密接な地域では、個人的な事情をなかなか話しにくいといったことも考えられるでしょう。なので「語る」ことが難しいと感じた場合は、単純にお話を聞く会だけでも良いと思います。
 
密接なつながりは、日頃から見守りができているとも言えるかもしれません。例えば、ご法座を休んだ方がすぐに気づいてもらえますよね。「あれ?イスが空いてるけどあのおばあちゃん来てないの?」といった具合に。
なにより、ご法座そのものが「縁起でもない話をしよう会」として成り立っているかもしれません。「いつ死ぬか分かんないお互いだもんね」って、まさに縁起でもない話じゃないですか。その意味では、改めて場をデザインする必要がないケースもあるかもしれませんね。各寺院の持っている良さを存分に活かしていただければと思います。
 
ーー「縁起でもない話をしよう会」という名称の使用にはなにか手続きが必要でしょうか?
 
井上:名称については、特に商標の登録はしていませんので、どうぞご自由にお使いください!ただ、スタッフがホームページを作っていますので、もし名称を使っていただくのであれば「縁起でもない話をしよう会@地名」といったタイトルにしていただければ、こちらも情報発信でご協力させていただこうと思います。
 
ーー最後に、今後の展望をお願いします。
 
井上:現在は新型コロナウイルスが猛威を振るっていますが、それでも人と人との繋がりを失ってはいけないなと思います。
なので、対面で繋がれる形が一番望ましいですが、それができなくても今はオンラインで同じ思いは共有できますね。手法は変わっても、一人ではなくて、みんなで繋がって、その繋がりの中からまた何か生まれる動きを今後も寺院として目指したいと思います。
それが、地域を作っていくことであり、先ほど申しあげた寺院の公益性に即すことではないかなと思います。
 

<編集後記>

 
井上住職が中心となって始められたこの「縁起でもない話をしよう会」は、単に「縁起でもない話」をしてそれで終わり、というわけではありません。それをきっかけとして地域の見守りや、地域そのものを作っていくことへと繋がっていくことが大切だと、井上住職はお話しされます。
 
「縁起」は、もともと仏教用語であり、すべてのものは、必ず因(原因)や縁(条件)として繋がり、関係しあっているということを示す言葉です。(詳しくはこちら:暮らしの仏教語豆事典へ
 
老、病、死を「縁起が悪い話」として片付けるのではなく、一つのご縁(機会)として受け止め、私たちは多くの人びととの繋がりの中で生かされているということを改めて確認する。
「縁起でもない話をしよう会」のように、寺院が活動を通して社会や地域に対して発信できるメッセージは、まだまだたくさんあるのではないでしょうか。井上住職、ありがとうございました。
 
<関連リンク>
「縁起でもない話をしよう会」公式webサイト
「縁起でもない話をしよう会」公式YouTubeチャンネル(寺猫ちょびちゃんねる)
妙行寺公式webサイト

   

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掲載日: 2021.02.10