今から始める。エンディングノートの書き方|お寺で知る終活講座第5回レポート
葬儀・お墓欄の書き方
内山:次に、「葬儀・お墓」。
こういう葬儀をしてほしい、という希望を書いておき、葬儀社の生前予約をしておきましょう。また、遺影の写真を事前に用意しておかないと、亡くなった後でアルバムから探すのは大変です。2L版のカラー写真を準備し、エンディングノートに挟んでおくとよいでしょう。法名についても、生前にいただいている場合は、保管場所を記載しておくことが必要です。自分が亡くなったときに家族や親しい方々にお知らせするための文章をあらかじめ準備しておくとよいでしょう。その他、携帯電話・パソコンの解約連絡先、ペットの処遇、遺品整理についても忘れずに記入しておきましょう。
財産・後見欄の書き方
内山:次に「財産」です。
遺言書は手書きでなければいけませんが、財産目録をパソコンでつくることも可能です。それをエンディングノートに挟んでおきましょう。預金口座は3つ以内に絞っておかないと、相続のときに手続きが大変です。元気なうちに預金口座をまとめておくのがおすすめです。株式、保険、年金、不動産、クレジットカードはもちろんのこと、ローンや保証人がある場合も必ず書いておきましょう。そして、遺言書を書いたかどうか、保管場所がどこなのかを明記しましょう。遺言書は法務局が有償で預かってくれるサービスがあります。そうすれば紛失や偽造の心配はありません。公正証書の遺言書も預かってもらえます。
エンディングノートの「財産」欄に書く内容は法的には有効ではなく、あくまでも覚書に過ぎません。自分の情報を整理してまとめることが目的です。少ない財産であっても後々トラブルに発展する可能性があるため、必ず遺言書を遺しましょう。また子どもさんがいらっしゃらないご夫婦は、配偶者に財産を全て相続させる旨の遺言を遺しておけば、親兄弟姉妹には遺留分を主張する権利は発生しませんので、トラブルを予防できます。
次に、「後見」については、任意後見と法定後見があります。
任意後見とは、判断能力のある間に、将来判断能力が低下した際自分に代わって財産管理等をしてくれる方をあらかじめ選任するものです。法定後見とは、判断能力が不十分な方を守るため、親族(四親等内)の申し立てにより、家庭裁判所が選任した後見人がその方の財産を管理するものです。任意後見契約公正証書を作っておくと安心です。
まとめ
内山:以上、エンディングノートの項目に沿って、必要な準備について申し上げましたが、そろそろまとめに入りたいと思います。
エンディングノートの中身や保管場所を子どもさんや後見人に情報共有しておいた方がよいでしょう。慌ててしまうと、書いたことを実現するのが難しくなります。お盆やお正月等に帰省し、家族と一緒に過ごす機会がある場合は、エンディングノートを実家に持って帰り、介護・医療の項目あたりから一緒に記入してみてはいかがでしょうか。
介護サービスは幅広いため、何があるのかを勉強する必要があります。行政の高齢者福祉の窓口に行くと、介護保険サービスに関する資料があるので参考になると思います。延命については、医師に相談するだけではなく「尊厳死の宣言書」などの手続きも行うとよいでしょう。
親子間で一番聞きにくいことは、財産の項目かもしれません。他の項目を記入していく中で、ついでに話し合うとよいと思います。生命保険、葬儀社の予約の有無、墓石の有無など、さまざまな要素があります。高齢者施設は基本的に6畳一間のスペースで、持ち込める荷物は限られています。
荷物の整理や断捨離が大事です。住んでいたところが空き家になってしまう場合は、荷物が片付いていたら貸したり売ったりすることができますが、整理を専門業者に任せると、50万円以上かかる場合もあるので、ご自身で毎日少しずつ処分していくことをおすすめします。まずは衣類や食器の処分、写真の整理などが始めやすいでしょう。
エンディングノートは一度書いたら終わりではありません。考え方や状況は変わるものです。親子関係も変わります。1年に1回、誕生日や結婚記念日などを機に書いた内容を見直し、日付を更新していくとよいでしょう。エンディングノートをある程度書き終えたらすっきりして気持ちのゆとりができると思います。その後は、たとえばボランティア活動などに関わるのもオススメです。ボランティアや趣味に生きがいを感じている方は長生きしているという調査結果もあるそうです。
私たち京都SKYセンターにおいては、心配ごとのない健やか(S)・快適(K)・豊かな(Y)生活を、これからも支援していきたいと考えています。