講座を通して、老後も安心できるご縁を|終活講座―福岡県信行寺<前編>
終活講座の様子(画像提供:神崎さん)
福岡県糟屋郡。博多近郊の住宅地にある信行寺では、「終活講座」や「大人のための寺子屋」、そして「オンラインお寺参り」など、幅広い世代を対象にした活動を行いながら、現代におけるお寺の開き方や、ご縁の結び方が模索されています。
この度、信行寺所属の神崎修生(かんざき・しゅうせい)さんに、信行寺で行われているご活動についてお話を伺いました。前編となる今回は、「終活講座」についてご紹介いただきます。
「終活講座」とは・・・様々な業界の方をゲストにお招きし、死後事務、相続、葬儀、納骨、終末期医療など、多様な角度から終活について学びを深めていきます。(信行寺公式webサイトより)
「終活講座」が始まったきっかけ
信行寺の外観(画像提供:神崎さん)
――信行寺さんでは、終活講座という催しが行われていると伺いしました。これは、どのようなご活動なのでしょうか?
神崎 修生さん(以下:神崎):「終活講座」とは、死後事務や相続、葬儀、納骨といった、いわゆる終活の業界でご活躍されているさまざまな専門家をお呼びし、多様な角度から終活について学びを深める活動です。これは、自分や大切な人の死を考えながら、死生観を養うことも目的としています。
2019年より始めましたが、新型コロナウイルス感染症が流行しているため、現在は活動を休止しています。
――このご活動は、どういったきっかけで始められたのでしょうか?
神崎:いくつかありますが、お寺の役割は葬儀や法事を通して、死生観を養う場を提供することではと考えたのが出発点です。そして、誰しもが訪れる「死」は、人生の中での一大事であり、それをただ待つのではなく、生前から見つめたり、学んだりできるのではという思いがありました。
また、終活はその内容が非常に幅広いです。私自身も門信徒の方々と一緒に学ばせていただければと思い、企画しました。
――確かに、葬儀や法事だけではなく「終活」もこれからの地域のお寺に求められることかもしれませんね。専門家としてどんな方をお呼びされたのでしょうか?
神崎:第1回目は星野哲さんにお越しいただいて、「終活から集活へ」というテーマでお話しいただきました。現代が孤立社会になってきていることを踏まえ、人と集い、互いに支え合いながら終活を進めていく大切さをお話しいただきました。
第2回目は、司法書士の方に、主に死後事務のことについてお話をしていただきました。死後事務の課題や遺贈寄付といったテーマは、お寺からは持ちかけにくいので、専門家の方からお話ししていただけると心強いです。
――どういった流れでイベントが進むのでしょうか?
神崎:当日は1時間から1時間半程度の時間を用意しています。最初に講義、続けて質疑応答の時間を設け、内容によっては講義中に対話やディスカッションの時間も設定しています。
――催しにはどのような方が参加されるのでしょうか?
神崎:信行寺にご縁のある人がいらっしゃいます。特に、信行寺で行っている「真宗講座」に来てくださる門信徒の方が多いですね。年代は60歳から80歳代の方が中心でしょうか。
真宗講座とは・・・時代を超え、多くの人々を魅了してきた名著『歎異抄』を拝読し、人生の意味を味わい、生きる喜びや、感謝の心を深めていきます。(信行寺公式webサイトより)
終活が大事だとわかっていても、なにか大きなきっかけがないと具体的な行動には移せないものですよね。でも、いつも通っているお寺で終活の話があるなら……と来られる方も多くいらっしゃいます。